更年期障害とは、「更年期」と言われる期間にいろいろな不調が現れる病気です。男性・女性ともになる可能性がありますが、閉経前後の女性に多い傾向があります。主な原因は、男性女性ともに性ホルモンの低下です。

更年期障害では、イライラする・顔がほてる・眠れないなど、日常生活で起きがちな不快な症状がいくつも現れます。これらはそれぞれの症状で原因を探しても何も見つからない「不定愁訴」と呼ばれる症状です。不定愁訴は、本人のつらさを周囲にわかってもらいにくいため、一人でお悩みの方も多いと予想されます。

しかし、更年期障害の治療は少し長くかかる可能性があります。ご家族の理解を得て協力してもらうことが、更年期障害を乗り切るためにはとても重要といえます。

更年期障害を治すためには、更年期障害の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、更年期障害を治したい方のために、更年期障害の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.更年期障害とは? 

更年期障害とは、性ホルモンが急激に減少することでいろいろな症状が引き起こされる病気です。

今までは女性特有の病気と思われていましたが、最近では男性にも起きる可能性があることがわかり、研究が進められています。

更年期障害の症状が出やすい年齢は、男性が5060歳、女性は4555歳です。この期間を「更年期」と呼びますが、更年期に当てはまる人すべてに同じような症状が現れるわけではありません。

更年期に現れる不調を「更年期症状」と呼び、そのなかでも日常生活に支障をきたすほどの状態を「更年期障害」と定義します。更年期障害の程度には個人差があり、その人の性格や精神的なストレスも現れる症状に大きく影響していると考えられています。

更年期に不調が現れても、自分が更年期障害だと思い込むことは危険です。甲状腺機能異常やうつ病など、更年期障害とよく似た症状を示す病気の可能性もあるため、異変を感じたら医療機関を受診してみてもらいましょう。

2.更年期障害の症状

更年期障害の症状は、大きく3つに分類することができます。

(1)更年期障害の血管運動神経症状

  • 動悸・息切れがある
  • めまいが起きる
  • ホットフラッシュ(突然起きるほてりやのぼせ)
  • 汗が異常に出る
  • 体が冷える

(2)更年期障害の精神神経症状

  • イライラする
  • 眠れない
  • 情緒不安定になる
  • 憂鬱な気持ちが続く
  • やる気がでない

(3)更年期障害のその他の症状

  • のどが渇く
  • 食欲がなくなる
  • お腹の調子が悪い(下痢・便秘)
  • 肩こり・腰痛

これらの症状は不定愁訴と言われるものが多く、症状も多岐にわたります。不定愁訴とは、「なんとなく体調が悪い」という自覚はあるものの、医療機関を受診しても原因がはっきりしない少し困った症状です。

3.更年期障害の原因

更年期障害の原因は、性ホルモンの低下と考えられています。女性は年齢を重ねると、卵巣の機能が低下していきます。

女性ホルモンの一種であるエストロゲンは卵巣で作られているため、卵巣の機能が低下するとエストロゲンの分泌も減少していきます。

エストロゲンの減少が更年期障害を招く理由は2つあります。

(1)脳からの過剰命令

エストロゲンは、脳の視床下部(ししょうかぶ)から指令を受けて卵巣で作られます。卵巣の機能が低下してエストロゲンの分泌が減少すると、その状態を察知した視床下部は、卵巣に対して「足りないからもっと作って」と指令を出します。

しかし、卵巣はこの指令に答えることができずエストロゲンが増えることはありません。視床下部は「作って!作って!」と何度も指令を出すうちにパニックに陥ります。視床下部は自律神経の調節も行っている場所なので、視床下部がパニックを起こすと自律神経もその影響を受け乱れてしまい、その結果いろいろな症状が引き起こされます。

(2)エストロゲンの減少に体が対応できない

エストロゲンは、生殖以外にも体のいろいろな部分に働きかけて体のバランスを保っています。そのため、エストロゲンの減少は様々な部位での不調につながる恐れがあります。

4.更年期障害の治療

更年期障害の治療は、主に婦人科で行われます。更年期障害の治療法には、いくつかの選択肢があります。

  • ホルモン補充療法
  • 漢方薬・薬物療法(抗不安薬・抗うつ薬)など

(1)ホルモン補充療法

不足している女性ホルモンを補充することで、更年期障害の症状を改善します。

(2)鍼灸治療

鍼灸治療では自律神経のバランスを整えて、薬を使わず、副作用のない更年期障害の治療として大きなメリットがあります。

(3)薬物療法(抗不安薬・抗うつ薬)

更年期世代の女性は、仕事や家庭での役割分担が多く、体だけでなく心が疲れているケースが多くあります。そういう場合に、こころの負担を軽くするための薬が処方されます。

(4)心理療法(カウンセリングなど)

心の問題と向き合い、解決する方法や考え方を身につけます。

更年期障害は、性ホルモンやストレスとの関連が深い病気です。生活習慣を整え心穏やかに過ごすことにより、更年期障害の症状が改善する事が多くあります。更年期障害は、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。