口腔内セネストパチーは、口のなかに何らかの異常不快感を感じる症状ですが、見た目などには異常がないものの訴えが強く、症状の名前であるセネストパチーとは体が感じるさまざまな幻覚や異常を表すものであり、精神疾患のひとつと分類されます。

セネストパチーはとくに口腔に関して症状を訴えるケースが多く、その場合を口腔内セネストパチーと分類します。セネストパチーは50代前後に発症、上半身から始まることが多く、口の中の症状を訴えることが多いと言われています。

原因については精神疾患の一部と考えられ、訴えは他人には理解し難く、歯科や麻酔科などさまざまな診療科にかかる方も多く見られます。治療に関しても、症状によっては効果を示すものもありますが、難治性のものが多くお困りの方にとっては大変苦痛なものです。

治療法に関しても精神的なアプローチが重要ですが、確立されたものはなくカウンセリングや、投薬などが主なものとなります。またこれ以上悪化しないように経過観察することが重要となります。

口腔内セネストパチーを治すためには、口腔内セネストパチーの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、口腔内セネストパチーを治したい方のために、口腔内セネストパチーの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.口腔内セネストパチーとは

口腔内セネストパチーとは、歯や歯ぐき、舌やのどの奥など口腔内に関する異常や不快感を症状とする疾患です。

セネストパチーは本来、精神科や心療内科などの分野であつかわれます。どの部位にも出現する可能性はありますが、口腔内または上半身で症状を訴える方が多いといいます。

一般的には50代前後で発症することが多く、抜歯や噛み合わせの調整などの治療後に起こることが多いとされています。不快感を訴えられますが、他人には理解しがたい訴えであることも多く、ストレスを感じられる方が多くいらっしゃいます。

口腔内セネストパチーでお悩みの方は、たいてい歯科医院や耳鼻咽喉科など症状があらわれた部位の専門医院を受診します。問診の際に訴えられる口腔内の違和感をもとに、さまざまな検査を施します。しかし結果は「まったく異常なし」ということがほとんどです。

現実的に、口腔内セネストパチーの症状で苦しんでいる患者様は釈然とせず、周囲に理解されないことが気持ちの上で負担になります。受診した医療機関によっては、口腔内セネストパチーという病名が判明するまでに時間がかかる可能性もあります。

2.口腔内セネストパチーの症状

口腔内セネストパチーの症状は、「虫歯による激しい疼き」や「喉が炎症をおこして痛む」といった明確なものではありません。やや抽象的な感覚で「不快感」に類するものであるといえます。

症状については、各々さまざまな言い方をされますが、歯が浮いた感じがする、異物で口の中がいっぱいになっている、歯ぐきがどろどろと溶けてくる、舌が勝手にねじれる、といった奇妙な表現です。苦いものが出てくるといった、味覚障害が症状のこともあるようです。

奇妙な症状を執拗に訴えるために精神科への受診を促されることもありますが、拒否される方も多くおられます。

症状は幻覚のような訴えですが、口腔内セネストパチーでお悩みの方からすれば、実態はなくても知覚的には体感していることに違いはありません。何かが口腔内に刺激を与えているはずなので、それを取り除いてほしいのです。

3.口腔内セネストパチーの原因

口腔内セネストパチーの原因は、先に述べましたように精神的な要素が関係しています。決して、口腔内に生じる通常の疾患が原因ではないのです。ただ、抜歯や噛み合わせの調整などの歯科治療の不適合などが、発症のきっかけとなっているケースもあります。

口腔内に限らず、広い意味でセネストパチー(体が感じる幻覚)の症状が出る疾患を考えてみますと、うつ状態やてんかん、老人性うつや認知症、統合失調症などがあげられます。複数の要因が重なっていることもあり、その場合は原因の特定がむずかしくもなります。

しかし一部の方には、高血圧や動脈硬化、脳室拡大や脳萎縮などの身体症状を伴うものもあります。発症しやすい年齢は50歳代以上が多く、身近な人の死や先行きの老いに対する不安、対人関係の悩みなど、不安障害や自律神経の乱れなどが原因のひとつとなります。

また更年期障害や、別の疾患で悩んでいるところに、不安定要素が追加されることで発症することも考えられます。発病は徐々に起こり、慢性の経過を取り、うつ病のように、うつと躁を繰り返すこともあります。

本来の気質も口腔内セネストパチーの発症にかかわっています。神経質である、何事も完璧にできないと気がすまない、細かいことにこだわる、といった方は、確率として発症する可能性が高くなります。

4.口腔内セネストパチーの治療

口腔内セネストパチーの治療は、不快感を訴えている部位に問題がないか詳しく検査をする必要があります。口腔内セネストパチーそのものが発症していると最初から断言できるわけではないのです。別の疾患である可能性を、全て否定できるか調べることが先決です。

例えば歯の治療がうまくいかなかったことが要因のひとつであれば、満足できる歯の治療を完結させることが肝心です。その上で、精神的にかかえているものを解決していくことになります。

有効な治療法としては臨床心理士や精神科の医師によるカウンセリングなどが主なものとなります。口腔内セネストパチーでは、口腔内の症状も診断でき、なおかつ精神科の専門家もいるという医療機関が最も適しているといえます。

もしくは口腔内の治療を行う歯科や口腔外科と精神科、臨床心理士、心療内科などが密に連携を取れるシステムが必要となります。

精神疾患では、傷が目に見えるわけではなく、治療が長期化することもしばしばです。そのため上手に付き合っていくことが重要となり、抗うつ剤や、安定剤、睡眠導入薬など、精神科で処方される薬物を処方されることもあります。症状によってはマウスピースも合わせて処方する場合もあります。

これらの治療に関しては、一次的に効果が見られることがあっても、難治性のことが多いため定期的な受診により悪化を防ぐこと、いち早く悪化に気づき、治療を進めることが大切だと言えるでしょう。

口腔内セネストパチーでは、気持ちの折り合いがつけば症状は軽くなります。また環境に問題があるのなら、意図的に変える方法もあるでしょう。ストレスは受け入れる(考え方を変える)か、取り除くか遠ざけるなどして減らしていくことを試みます。

口腔内セネストパチーの症状は他人に理解されにくいために、家族とトラブルになってしまうケースもあります。しかし孤立してしまうと症状はさらに悪化する可能性がありますので、周りの方の理解も必要です。重症度はわかりにくのですが、決して治らない疾患ではありません。

日常生活を見直す、軽い運動を取り入れたりすることでストレスを回避する、ストレスを受け入れるなど心が穏やかになるための工夫を、日常生活の中に取りいれるだけで、症状が良くなることも考えられます。どうぞあきらめないでください。