起立性調節障害とは、思春期に多い病気とされます。何らかの原因で血圧が上がらず、朝起きる事が出来ない、吐き気、めまい、頭痛などの身体的症状が出ます。また、不安感、やる気が出ない、イライラするなどの精神的な症状が合わせて出やすくなります。

起立性調節障害の症状が強くなりますと、学校に行けなくなるなどの不登校の原因にもなります。実はこの症状でお悩みの方は非常に多くおられます。ただ、周りに起立性調節障害でお困りの方がおられない場合は、自分だけが特別なのではないかとお悩みになられます。

起立性調節障害は、病院でも原因不明・治らないと言われる事が多い病気です。このためお悩みの方が多くおられます。起立性調節障害は、原因を見つけ、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。

起立性調節障害を治すためには、起立性調節障害の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、起立性調節障害でお困りの方のために、起立性調節障害の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.起立性調節障害とは?

起立性調節障害とは、自律神経失調症の一種ではありますが、とくに年代が10歳から17歳ぐらいの成長期にある子供さんが発症する疾患です。朝、体がだるく起きることができず、体調の不良から遅刻や不登校になるケースが多くなります。

起立性調節障害という病気は、昭和30年代終わり、40年代頃から指摘され始めました。1年間で身長が10センチ以上も伸びるほど発達する時期に、割合としては1(全体の5%から10%未満)、男子よりも女子の方が発症しやすい傾向にあります。

当初は思春期の「甘え」「精神のたるみ」が原因といった見解から、厳しい叱責が与えられ、起立性調節障害の子供さんはつらい想いをしてきました。平成に入って以降、起立時の血圧異常を示すデータなど科学的根拠から、自律神経に係わる病気として扱われるようになりました。

自律神経は、交感神経と副交感神経が交互にバランスをとりながら、人間の体が活動しまたは休養するための体内システムです。起立性調節障害は、この自律神経の乱れに起因しています。なぜ起きるのか、そのメカニズムは解明されていませんが、著しい成長期の生理的な要因があるとの憶測があります。

2.起立性調節障害の症状

起立性調節障害は、自律神経の何らかの不具合によって起こる循環の調節障害の一つです。これは脳への血流や上半身への循環障害のために、日常生活が送れないものです。

寝ている状況から体を起こすと血液にも重みがあるため、下半身へ流れやすくなり心臓よりも高い位置にある上半身や脳に血流が行き渡りにくくなります。自律神経は、均等に血流が行き渡るように調節する役割があるのですが、起立性調節障害ではその調節がうまくいかなくなります。

それにより、立ちくらみ、脳貧血、めまい、といった血流の悪さからくる症状が出るのです。それ以外にも、強力な肩こりや偏頭痛なども症状としてあげられます。嘔吐や気分のイラつき、しびれや汗をかくなどの症状も伴い、頭痛の前触れとして視覚的に閃光(せんこう)が走るなどの特徴もあります。

起立性調節障害の最も特徴的な症状に、先述した「起床が困難」ということがあります。交感神経が目覚めて人間の体も活動を始めるのですが、そのスイッチがオンにならないのです。正常な場合から半日ほど活動期がずれてしまい夕方以降は元気になります。そのため、今度は休養するべき夜間には眠れないという悪循環に陥ります。

また私たちの体は、排尿により体内の塩分を排出するようになっています。通常、午前中から昼頃にトイレへ行く機会が多いのに対し、起立性調節障害の場合、夕方以降から夜間が多いという傾向もあります。

3.起立性調節障害の原因

起立性調節障害の原因は、実際にはよくわかっていません。しかし、自律神経のアンバランスということが何かしらの原因で起こっている状況です。そして、自律神経の不調により、血圧を一定に保つ調整ができないのです。

また、立ちくらみやめまいを引き起こす、平衡感覚の不調も起こります。しかし、これらが起きる直接の原因は、いくら検査をしてもわからないことが多いようです。

偏頭痛に関しては、近親者にも同じ病歴を持つ場合があると言われています。つまり、遺伝的要素が多少はあるということです。しかし、これも研究の途中であり、確かな原因とは言い切れないでしょう。

起立性調節障害には、まだ不明とされていることも多いのですが、原因として発症しやすい性格というのはあります。繊細で、周囲に対する気配りができる気質です。幼少期から育てやすかったという親御さんの意見からも、いわゆる「優等生・良い子」である傾向があるようです。

上記の性格と関連して、結果的にストレスをため込みやすいということがいえます。不調を感じても、「心配かけたくないから」と黙っているパターンから、症状が悪化していたということもありがちです。また優しい性格ゆえに、いじめの環境にさらされることも、ケースとしてはあります。

4.起立性調節障害の治療

起立性調節障害の治療は、早期の対応が必要となります。できれば子供さんの体調不良などの変化に周囲が気づき、積極的に検査・治療を受けさせると言った周囲のサポートが必要です。

血液検査、心電図やエックス線、CTやMRIなど、多角的に異常がないか検査をします。起立性調節障害そのものの検査というより、その影に重篤な別の病気が隠れていないかを探る消去法的な意味もあります。

起立性調節障害の症状が顕れた初期の段階で放置してしまうと、難治性になる傾向があります。偏頭痛や過敏性腸症候群、うつ病などと合併症を起こし、病状を長年に渡り引きずってしまうことになりかねません。

まずは、ご本人と家族への疾患に対する理解が大切です。特に、起立性調節障害でお困りのお子さんにとって、疾患により朝が起きられないという兆候を、怠惰などだと考えてお子さんに強く当たる傾向が多く、さらに心を閉ざしてしまうということもあります。

起立性調節障害でお困りのお子さんの日常生活における対処法としては、1)夜更かしを避ける、2)長時間立位を続けない、3)起立に際して頭部の動きを少なくするようにする、4)水分をしっかりと取る、など、症状に応じて適切な生活指導が必要です。

生活指導での改善が見られない時には、薬物療法を試みますが、大きな効力は期待できないと言われています。最も重要なことは、両親や家族、学校の先生など周囲の大人が連携をとって、不安になっている子供さんの気持ちに寄り添うことが大切です。精神的なサポートをしてあげることで子供さんのストレスを軽減することが可能です。

起立性調節障害の症状は、軽症例ですと、23ヶ月で改善するとされていますが、長期になりますと社会復帰に時間も要するため、23年ほどかかることもあると言われています。

起立性調節障害は、自律神経との関連が深い病気です。投薬や日常生活の改善などの対処法により、自律神経のバランスを正すことができます。そのことにより、起立性調節障害の症状が改善する事が多くあります。

また、早期の対応と治療が重要な疾患であり、長引かせないためにも異常に周囲が気づいてあげることも大切です。起立性調節障害は、しっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。