パニック障害とは、突然、激しい動悸や息切れ、震えなどの身体症状が起こり、強い不安感をおぼえる病気です。このようなパニック発作を起こしている間は、死ぬかもしれない、気がくるってしまうかもしれないと恐怖を感じます。

パニック障害は、不安を感じる絶対的な理由がなく、他人にはわかりにくい病気です。身体症状が出ているのに、血液検査などには異常が認められません。

パニック発作を繰り返し、またいつその症状が出るかわからないので不安になり、発作を起こしたことのある場所や逃げ場のなさそうな場所を避けるようになる、というのがパニック障害の特徴です。

パニック障害は男性よりも女性に多い病気です。

パニック障害では、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで、不安を感じやすい状態になっていると言われています。そのため、このバランスを整える治療をすることで、症状の改善が見られます。

ストレスや性格、環境などが影響していると考えられますが、薬物療法で症状を抑えながら、考え方や行動を修正して、パニック障害を改善することができます。

パニック発作は1時間以内に治まりますが、本人にとって非常に苦しい状況です。きちんと対処して早く治したいものです。

パニック障害を治すためには、パニック障害の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、パニック障害を治したい方のために、パニック障害の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.パニック障害とは

パニック障害とは、突然、動悸や息切れ、震え、発汗などの身体症状を伴って、強い不安感・恐怖感におそわれる病気です。このような状態をパニック発作と言います。パニック発作は、10分以内にピークに達し、数十分ほどで治まります。

パニック障害は、日本では100人に23人が発症すると言われており、特に珍しい病気ではありません。しかし、誰でもが大きな不安を感じるような場面でもないのに、強烈なパニック状態になるので、他人には理解することが難しい病気です。

パニック障害は女性の方に多く見られ、男性の約3倍と言われています。20~40代で多く発症し、30代女性が最も多いということです。

パニック障害は、身体症状が現れるにもかかわらず、検査をしても身体には異常が認められません。この点で、似たような身体症状を示す他の病気と区別されます。

パニック障害は、死を感じるほどのパニック状態になりますが、パニック障害で死ぬことはありません。適切な治療を行うことで改善できます。

2.パニック障害の症状

パニック障害の症状の特徴は、急な動悸や息切れ、震えなどの身体症状と、強い不安感が現れるパニック発作です。このパニック発作で、死を感じたり、気が狂ってしまうのではないかという恐怖を感じたりします。

パニック発作は繰り返されることが多く、発作が起きているときは死ぬかもしれないと思うほどの恐怖を感じ、発作が起きていないときは、また発作が起きるかもしれないと不安が続き、さらに発作を招く原因となります。

またいつ発作が起きるか常に不安を感じることを「予期不安」と言います。これもパニック障害の症状です。

予期不安が強くなってくると、発作が起きた場所や逃げられないような場所・状況を恐れるようになります。これを「広場恐怖」と言います。広場恐怖はパニック障害の方の多くに見られる症状です。

そしてそのような場所や頼れる人がいない場所に行くことを避けるようになります。これを「回避行動」と言います。

「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」は、パニック障害の三大症状です。常に不安が付きまといます。

3.パニック障害の原因

パニック障害の原因は、不安に関係する神経伝達物質ノルアドレナリンと、興奮を抑える神経伝達物質セロトニンのバランスが崩れることだと言われています。ノルアドレナリンの働きが相対的に強くなることで不安の感情が強まると考えられています。

パニック障害にはストレスがかかわっていると言われています。大きなストレスがかかった場合だけでなく、ストレスを感じやすい人はささいなことでもパニック障害を引き起こす原因となる可能性があります。

ストレスを感じやすい人は、性格環境が影響しています。

  • 心配性
  • 神経質
  • 人見知り
  • 動物を怖がる人
  • 30代女性
  • 疲労

性格上、ストレスを感じやすい人は不安も感じやすく、パニック障害の原因となりやすいです。また、30代女性は、年齢的に仕事や家事・育児に忙しく、ストレスがかかりやすい環境にあります。

そのほかに、喫煙、飲酒、カフェイン、自律神経失調症、人間関係、ぜんそく薬などが影響する場合があります。

4.パニック障害の治療

パニック障害の治療を行う際には、似たような症状を示す他の病気との鑑別が必要です。パニック障害に特徴的な症状があり、血液検査、心電図、レントゲン検査などで異常がない場合に、パニック障害と診断されます。

パニック障害の治療は主に薬物療法と心理療法を行います。両方を組み合わせて行うと効果的だと言われています。薬物療法でパニック発作が起こらないようにコントロールしながら、心理療法で不安を感じにくい考え方を身に付けていきます。

パニック障害は、長引かせると症状が悪化し治りにくくなりますので、できるだけ早く治療を開始しましょう。

1)薬物療法

薬物療法ではパニック発作が起きないように、薬の量が調整されます。勝手に薬の量を増減すると副作用が強く出たり、症状が強くなったりする可能性があるので、自己判断で薬の量を変更しないようにしましょう。

2)心理療法

認知行動療法

パニック障害について学習し、どのような環境で症状が出るのかを把握します。ものごとに対する考え方や行動の仕方を修正します。

自律訓練法

自己暗示で、リラックスする方法を身に付けます。

3)生活習慣の改善

パニック発作を起こさないために、日常生活も見直してみましょう。

  • 起床時間・就寝時間・食事の時間を決め、規則正しい生活をしてリズムを整える
  • カフェインを控える
  • 飲酒量を減らす
  • 喫煙を控える
  • 適度に運動をする
  • 疲労をためない
  • 趣味などでストレスを発散する

パニック障害は、強い不安と突然起こる身体症状で、恐怖も感じる非常につらい病気です。本人が病気に立ち向かうとともに、周囲の方の理解も大切です。

もし、パニック発作が起きた場合は、床に腹ばいになるか、椅子に座って前かがみになり頭を下げると、動悸や息切れが治まり、少し楽になります。誰かそばにいれば、手を握ってあげたり声をかけてあげたりすると、不安が少し治まります。

パニック障害の三大症状「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」で悪循環を起こさないよう早めに対処しましょう。

パニック障害は、突然心身に起こるパニック状態で気が動転しがちですが、薬物療法と心理療法でしっかりと治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。