低音障害型感音(かんおん)難聴とは、低音部分だけが聞こえにくくなる病気です。

感音難聴とは、内耳に機能障害が生じ、体内に取り込んだ音の振動をうまく脳に伝えられないために起こる難聴のことです。感音難聴の中で、難聴が低音域だけに起こるケースを低音障害型感音難聴と言います。

低音障害型感音難聴は耳が詰まった感じ聞こえにくさ耳鳴りなどの症状がみられ、突発性難聴やメニエール病と似ているのですが、めまいの症状がない点が相違点です。

低音障害型感音難聴は2040代の女性に多く発症し、育児や仕事の忙しさからくるストレスが影響しているのではないかと考えられています。

低音障害型感音難聴は、突発性難聴のように突然難聴になるというのではなく、症状が軽めなので放置されることも多いようです。自然治癒することもあるのですが、きちんと治療をしなければ場合によっては症状が悪化することもあります。

低音障害型感音難聴は治る可能性の高い病気ですが、一方で再発しやすい病気でもあります。早期治療をすれば短期間で治ります。症状が軽いからと放置せずに、できるだけ早く治療を開始しましょう。

低音障害型感音難聴を治すためには、低音障害型感音難聴の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、低音障害型感音難聴を治したい方のために、低音障害型感音難聴の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.低音障害型感音難聴とは

低音障害型感音難聴とは、低い音だけが聞こえにくくなる病気で、急性感音難聴の一つです。感音難聴は、内耳から大脳への聴覚伝達経路が障害されることで生じます。

感音難聴の中で急に症状が現れる急性感音難聴には、低音障害型感音難聴、突発性難聴、メニエール病などが含まれます。低音障害型感音難聴は完治する可能性の高い病気です。しかし再発もしやすいと言われています。

低音障害型感音難聴は、急性低音障害型感音難聴や急性低音障害とも呼ばれています。低音部分が聞こえにくいだけではなく、耳が詰まった感覚耳鳴りの症状もあります。

低音障害型感音難聴は、突発性難聴と似た症状がみられますが、突発性難聴にみられるようなめまいの症状はありません。

また、メニエール病とも症状が似ていますが、メニエール病特有の回転性めまいの症状がないことで鑑別されます。

聞こえ方の部分だけメニエール病と似た症状が出ているため、めまいを伴わないメニエールという意味で、蝸牛(かぎゅう)型メニエール病と呼ばれることもあります。蝸牛は内耳にあり、聴覚をつかさどる感覚器官です。

低音障害型感音難聴は2040代の女性に多くみられ、育児や仕事によるストレスが関係していると考えられています。

2.低音障害型感音難聴の症状

低音障害型感音難聴の症状として次のようなものがあります。

  • 低音部分が聞こえにくい
  • 低音の耳鳴りがする
  • 耳が詰まった感じがする
  • 音がひずんで聞こえる
  • 自分の声が響いているように感じる

低音障害型感音難聴の症状は、突発性難聴やメニエール病と似ていますが、それらに特有のめまいの症状がありません。また突発性難聴のように急激に難聴になるのではなく、軽い症状から始まるため、そのうち治まるだろうと放置されることも多いようです。

低音障害型感音難聴は突発性難聴に比べると症状が軽く、治る可能性が高いとされています。軽度の難聴なので、相手と対面しての会話には支障がありませんが、離れた場所からの呼びかけに気づかなかったり、騒がしい所での会話が聞き取りにくかったりします。

低音障害型感音難聴の症状は、完治するケースが多いのですが、再発もしやすいのです。23割の方に再発が見られ、再発を繰り返していると治るのに時間がかかったり症状が悪化したりすることがあります。

場合によっては、低音域だけでなく高音域まで聞こえにくくなることもあります。症状がいったん治まって1年~1年半後に再発する可能性が高いと言われています。

3.低音障害型感音難聴の原因

低音障害型感音難聴の原因は内耳の中にある蝸牛の機能異常です。蝸牛は聴覚をつかさどっています。蝸牛にはリンパ液が入っており、その圧が一定に保たれることで、聴覚機能が正常に働き、音が聞こえるのです。

ところが、蝸牛の中のリンパ液の排出がうまくいかなくなって増えすぎてしまうと、蝸牛内の圧が高くなり、むくんだ状態になります。そうすると神経伝達がスムーズに行われなくなり、低音を感知する部分に機能障害が起こります。そのために低音部分が聞こえにくくなるのです。

蝸牛のリンパ液のバランスが崩れるのは、ストレス睡眠不足疲労などによるとされています。2040代の女性に発症しやすいのは、育児や仕事の影響がこれらの要因を引き出しているためではないかと考えられます。

ストレスは自律神経に影響を及ぼし、交感神経優位の状態になりやすくなります。そうすると毛細血管が縮んでしまい、余分なリンパ液を排出しにくくなり、蝸牛に多くたまりすぎてしまうのです。

4.低音障害型感音難聴の治療

低音障害型感音難聴の治療をする前に、まず似た症状を示す突発性難聴やメニエール病と鑑別しなければなりません。めまいの有無がポイントです。

また、聴神経の腫瘍でも低音障害型感音難聴と似た症状が見られますが、低音障害型感音難聴であれば、画像検査で異常は見られません。

低音障害型感音難聴は軽い症状から始まるので、治療をせず放置している方もいます。低音障害型感音難聴は8割以上の方が治ると言われており、23日で自然治癒するケースもあります。

とは言っても、放置して悪化する場合もあり、繰り返しやすい病気でもあります。場合によっては、軽い難聴が残るケースもあります。

低音障害型感音難聴の治療は主に薬物治療です。炎症を抑えたり血液循環を促したりする薬を使用します。

  • 血液循環改善薬
  • 利尿剤
  • ビタミン剤

薬物治療は12週間が多く、長期間ではないので、薬の副作用を心配する必要はありません。

低音障害型感音難聴は早く治療をすれば早く治ります。なんとなく聞こえにくいくらいの軽い症状でも、やはり不快なものではあります。早く治せるものならなるべく早く治したいものです。

また、低音障害型感音難聴はストレスや疲労が影響していると考えられるので、それらを少なくすることで、症状の改善や再発防止に役立ちます。体調不良の状態を長引かせないことが大切です。少し意識して生活を見直してみましょう。

  • 十分な睡眠をとる
  • 趣味などでストレスを解消する
  • 緑黄色野菜や果物などビタミンの多い食事をとる
  • 適度な運動をする

低音障害型感音難聴は回復することが多いのですが、再発することも多く、放置すると悪化したり、回復に時間がかかったりすることもあります。

低音障害型感音難聴は、ストレスや睡眠不足で疲れているというサインかもしれません。ストレスや疲労は他の病気を引き起こすきっかけにもなりえます。ご自分の体を休ませてあげましょう。

低音障害型感音難聴は完治する可能性が高く、治療を早く開始すれば早く治る病気です。適切な治療と生活の見直しで、不快な症状を早く治しましょう。どうぞあきらめないでください。