耳鳴りは、実際には音が鳴っているわけではないのに、耳の中で「キーン」「ジーッ」といった音が聞こえる不快な症状です。程度差はあっても、多くの方が経験されていると言われています。生理的なもので自然に治まる耳鳴りもあれば、治療が必要な耳鳴りもあります。

耳鳴りが長引くと、精神面にも影響してきます。日常生活や睡眠に支障が出てくることもありますので、できるだけ早く耳鳴りを治したいものです。

耳鳴りの治療法は、その原因によって異なります。耳鳴りには、重大な病気が潜んでいる場合や緊急を要するものがありますので、まず原因を特定することが大切です。耳鳴りの原因となっている病気の治療をすることで、耳鳴りの症状が治まる可能性があります。

耳鳴りの治療法を知ることは、耳鳴りを治すためにとても大切です。このページでは、耳鳴りを治したい方のために、耳鳴りの治療について詳しく説明しております。

1.耳鳴りの治療法について

耳鳴りの治療法は、耳鳴りのタイプによって異なります。まず耳鳴りの原因が何であるかを知ることが必要です。

耳の障害、脳や全身の病気、心因性、加齢など、原因はさまざま考えられます。最適な治療法を見つけるために、詳細な検査を受け、耳鳴りの原因を突き止めましょう。

特に注意が必要なのは、重大な病気による場合と緊急性を要する場合です。

耳鳴りを起こしている原因となる病気に心当たりがある場合は、受診する病院が判断できます。少数ですが、「耳鳴り外来」が設置されている病院もありますので、可能であれば相談してみましょう。

耳鳴りの治療は、薬物療法が基本ですが、一定期間を過ぎても改善が見られない場合は、薬が合っていない可能性があります。耳鳴りの治療は、薬物療法以外にも東洋医学や民間療法と呼ばれる方法があります。時間がかかるので気長に行う必要がありますが、耳鳴りが改善される可能性があります。

・鍼灸治療

ツボに鍼(はり)やお灸(きゅう)で刺激を与え、血流を改善します。

・指圧

ツボを強く圧迫します。

・マッサージ

押す、こねるなどの動きで筋肉をリラックスさせ、自然治癒力を高めます。

・整体

骨格のゆがみを修正します。

・カイロプラクティック

温熱療法の一種で、患部や全身を温めます。

・リフレクソロジー

足のある部位を押すことにより、そこに関連のある体の部位の症状が改善できます。

・漢方

漢方薬を飲み続けることによって、体質改善を図ります。最低3カ月は継続する必要がありますが、長期的改善策としてはお勧めの方法です。

鍼灸治療による血流の改善、整体による骨格のゆがみの修正、漢方による体質改善を図ることで、耳鳴りが治ったという例もよくあります。気長に続けることが必要ですが、病院での薬物療法とともに、これらの方法も取り入れ、日常生活の改善も心がけましょう。

日常生活の改善としては、食生活の改善、規則正しい生活リズム、飲酒や喫煙を控える、充分な睡眠、運動の習慣などがあります。また、耳鳴りを意識しすぎることはストレスの連鎖となり、よくありませんので、音響療法等で耳鳴りをストレスと感じなくなる治療もお勧めです。

2.緊急を要する耳鳴りの治療

緊急を要する耳鳴りの治療とは、脳や血管に関する疾患が原因となっている場合や突発性難聴の場合です。命に関わる場合や予後を左右する場合がありますので、以下のような症状に該当するときは迅速に対応してください。

・脳や血管に関する疾患

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。これらの前兆として耳鳴りの症状が出ている場合があります。耳鳴りとともに、頭痛、吐き気、意識が遠くなる、ろれつが回らないなどの症状が見られる場合は、救急車を呼びましょう。早急な対応が必要です。

・突発性難聴

突発性難聴は、突然発症し、耳鳴り、耳がつまった感じ、めまいの症状が見られます。発症後48時間以内の対応により、予後が左右されますので、早い受診が必要です。

ステロイドホルモンの大量投与が一般的で、血漿増量剤、ビタミン溶液の点滴なども行います。

3.耳・それ以外に原因のある耳鳴りの治療

・耳に原因のある耳鳴り・・・耳鼻咽喉科が専門です。

・外傷(鼓膜の破れなど)・外耳炎・中耳炎による耳鳴り

薬剤の内服や塗布により、患部の炎症を抑えたり、自然治癒を促したりします。

・難聴による耳鳴り

難聴の場合、音を聞き取ろうと脳が感度を上げ、必要のない雑音を拾ってしまい、それが耳鳴りとなります。補聴器の使用により、聞こえる範囲が広がると感度を上げる必要がなくなり、耳鳴りが治まると言われています。他にビタミン剤の投与、カウンセリング、耳鳴りをストレスとして感じなくする音響療法があります。

・メニエール病による耳鳴り

内耳のリンパ液が増えすぎることが原因とされ、耳鳴りとともに激しいめまいを感じます。薬物療法で辛い症状を抑え、利尿薬等でリンパ液の調整を行っていきます。

・それ以外に原因のある耳鳴り

・血管性の耳鳴り

血管に障害がある場合に起こります。高血圧や動脈硬化が関係していることもあり、降圧剤の使用で血圧を下げるなど、もとの疾患を治療することで耳鳴りを改善することができます。

・聴神経腫瘍による耳鳴り

手術により腫瘍の除去や、放射線治療を行います。腫瘍が神経を圧迫するために耳鳴りが起こるので、腫瘍がなくなることで、耳鳴りも治まると考えられます。

4.心因性の耳鳴りに対する治療

病院で検査を受けても、耳や脳に異常が見られず原因が特定できない場合、ストレスなど心因性の耳鳴りが考えられます。ストレスにより耳鳴りが起こると、その耳鳴りによりさらにストレスが生じ、悪循環になります。

心因性の耳鳴りに対する治療は、ストレスを小さくする方法をとります。ストレスが解消すれば、耳鳴りも改善されます。時間はかかりますが、あせらず治療にのぞみましょう。

・行動療法

ストレスが耳鳴りの原因となっている人は、仕事のためなら自分の体を犠牲にするなど、まじめで几帳面な性格の方が多いので、ゆとりの時間を持つよう、行動パターンの見直しを行います。

・認知行動療法

義務感の強い考え方を修正して、プラス思考へと導きます。考え方が変われば、行動パターンにも変化が現れ、体がリラックスでき、耳鳴りの症状も改善が望めます。

・バイオフィードバック療法

ストレスは筋肉の緊張を高めます。筋肉の緊張を視覚で確認できるように筋電図を測定します。これによって、ご自分がどのようなときに緊張するかが分かり、コントロールできるようになります。

・薬物療法

精神安定剤や抗不安薬、睡眠導入剤により、精神の安定、睡眠の質の向上を図り、リラックスした状態を保ちます。

・ウォーキング

気軽に行いやすいので、ぜひ取り入れたい有酸素運動です。毎日ウォーキングを行うことにより、ストレス解消になりリフレッシュできます。

軽い疲労感からよく眠れるようになります。充分な睡眠がとれると、疲労回復につながり、耳鳴りも改善が見込めます。

耳鳴りは、さまざまな原因が考えられ、自然に解消するもの、緊急を要するもの、長期の治療が必要なものがあります。適切な治療を行えば、耳鳴りは治ります。

どうぞあきらめないでください。