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耳鳴りを治すために

耳鳴りとは、音がしていないのに耳の中で音が聞こえる症状です。国民の1割以上が耳鳴りを経験したことがあると言います。身近な症状ではありますが、放置せず、なるべく早く原因を調べ、早期治療をすることが大切です。

耳鳴りの症状は不快であり、長く続くと、睡眠や生活に支障をきたすこともあります。一生治らないのではないか、何か大きな病気ではないかと不安を感じる方も多くいらっしゃいます。

耳鳴りの原因となる病気が判明することもありますが、原因がわからないこともあります。原因がわからなければ、治療はどうすれば良いのか、治ってもまたいつ再発するか、と不安はつきません。しかし、耳鳴りを治すためのさまざまな治療法があります

耳鳴りを治すためには、耳鳴りの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、耳鳴りを治したい方のために、耳鳴りの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.耳鳴りとは?

耳鳴りとは、実際には音がしていないのに、耳の中で音が聞こえる不快な症状のことを言います。耳鳴りは、症状自体もつらいのですが、他の人になかなか理解してもらえないというつらさがあります。

また、耳鳴りとともに難聴やめまい、吐き気、頭痛などを伴う場合は、命や予後にかかわる場合がありますので、早めに受診しましょう。

耳鳴りには、大きく分けて、自覚的耳鳴りと他覚的耳鳴りとがあります。

(1)自覚的耳鳴り

自分にしか聞こえない耳鳴りで、検査機器で音を拾うことはできません。耳鳴りの大半は自覚的耳鳴りです。自覚的耳鳴りの多くは、内耳や聴神経に異常があると言います。自覚的耳鳴りのうち、静かな場所で「シーン」と聞こえる耳鳴りは、生理的なもので心配ありません。

(2)他覚的耳鳴り

自分の体が発する音が音源となって聞こえる耳鳴りです。検査機器で音を拾うことができます。筋肉のけいれんする音や、血液が流れる音、関節の音が原因と考えられます。

2.耳鳴りの症状

耳鳴りの症状は、音の高さや持続時間、規則性など、さまざまな現れ方があります。

「キーン」「ピー」という金属音や電子音が聞こえるものを「高音性耳鳴り」と言います。高音声耳鳴りは、耳をふさぐと大きく聞こえ、しばらく続きます。

これと反対に「ブーン」「ゴー」という低い音が聞こえ、耳閉感(じへいかん:耳が詰まった感じ)があるものは「低音性耳鳴り」と言います。高音性耳鳴りより危険性は低いことが多いということです。

「ドクンドクン」といった脈打つような音が規則的に聞こえるものは、「血管性耳鳴り」と言います。脳や難聴、甲状腺機能亢進症、高血圧症がかかわっている場合があり、注意を要します。

耳鳴りの音が一つであるものは「単音声耳鳴り」と言い、複数の種類の音が混ざって聞こえるものは「雑音性耳鳴り」と言います。雑音性耳鳴りの場合は、原因が複雑であると考えられます。

突発性難聴やメニエール病など突然激しく起こる耳鳴りや、老人性難聴のように慢性化してしまう耳鳴りもあります。

耳鳴りの症状にはさまざまなタイプがあります。どのような音で、どのような聞こえ方をするのか、ご自身にしかわからない症状をきちんと伝えることが大切です。耳鳴りの原因を特定するためには、ご本人からの症状の訴えが重要な鍵となります。

3.耳鳴りの原因

耳鳴りは難聴と深いかかわりがあり、感音性難聴(かんおんせいなんちょう)に関連したものが多いと言われています。

感音性難聴とは、感音系(音を感じ取って認識する内耳から脳までの部位)の異常によって起こる難聴です。難聴になると、脳が聴神経の感度を上げ、不要な音まで拾ってしまいます。それが耳鳴りとして現れるのではないかと考えられています。

耳鳴りの原因となる耳の病気には、次のようなものがあります。

  • メニエール病
  • 突発性難聴
  • 滲出性(しんしゅつせい)中耳炎
  • 耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)
  • 耳管開放症
  • 外耳道炎

脳や聴神経、全身疾患も耳鳴りの原因となることがあります。

  • 脳梗塞(のうこうそく)
  • 聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 動脈硬化
  • 自律神経失調症
  • 更年期障害

他に、ストレスや加齢、疲労、無理なダイエット、薬の副作用、度数の合わないメガネやコンタクトレンズの使用なども原因となりえます。

4.耳鳴りの治療

耳鳴りには、心配のないものもありますが、緊急を要するものもあります。耳鳴りとともに頭痛や吐き気、めまい、耳閉感(じへいかん:耳が詰まった感じ)など、別の症状も見られるときは、脳・血管に関する疾患や突発性難聴の可能性があります。これらの場合、命や予後を左右することがありますので、早急な処置が必要となります。

耳鳴りの治療には、原因となる病気の治療と対症療法があります。原因の病気が良くなれば耳鳴りも治まることがあります。

対症療法として、以下のような方法があります。

(1)薬物療法

  • 血流改善薬:血流を改善して内耳や脳の代謝を高める
  • 抗うつ薬・抗不安薬:精神を安定させ、緊張をほぐす
  • ビタミン剤:神経の修復を促す
  • 筋弛緩剤:筋肉の緊張をほぐす

(3)補聴器の使用

難聴による耳鳴りの場合は、補聴器を使用することによって、難聴が改善されると耳鳴りが治まることがあります。

5.病院で改善しない耳鳴り方への当院の治療

病院で治療を行っても耳鳴りが治らない場合が多々あります。耳鳴りの治療で大切なことは、「症状を改善する」「根本原因を治療して、再発を防ぐ」ことです。当院では、以下を中心とした耳鳴りの治療を行います。

  • 慣れて下さい
  • 様子を見ましょう
  • 治りません

という場合も珍しくありません。

あきらめてしまい、そのままにしていると耳鳴りが大きくなり、場合によっては難聴に進行する場合があります。

また、自律神経失調症の症状を引き起こす場合が多々あります。動悸・息苦しさ・めまい・不安・不眠などの症状が起こりやすくなります。

病院では治らないと言われることも多いのですが、しっかりと治療をすれば耳鳴りは改善する病気です。耳鳴りを治すための当院の治療についてご説明します。

(1)耳の治療

まず、耳の状態を改善することが最も大切です。内耳と呼ばれる音を感じる部分に障害が起こり、耳鳴りを生じる可能性があります。

しかしながら、内耳の部分は薬も効きにくい部分なので治療が困難になります。内耳の状態を変える事は、耳鳴りを治すためには最優先となります。

内耳の有毛細胞と呼ばれる音を感じる細胞が炎症などの影響により傷付き敏感となります。このため、有毛細胞の血流を良くする事により耳鳴りが改善していきます。

一般的には薬が効きにくいのであきらめがちですが、十分に改善の可能性があります。耳の内耳の状態を改善する事が耳鳴りを治すためには必要です。

(2)耳鼻咽喉領域の治療

耳鳴りが起こる前に、風邪をひいていたと言われる方が多いのです。アレルギー性鼻炎や花粉症の方も多くみられます。耳鳴りの原因として、耳鼻咽喉領域の問題を考えます。

咽・鼻の粘膜が弱いと、風邪のウィルスなどが、耳管とよばれる耳につながるトンネルを通って、耳に入ってくることがあります。この結果、内耳に炎症がおこり、耳鳴りが発生する原因になります。

耳鼻咽喉領域に慢性炎症が残るため再発が起こりやすくなります。耳鳴りの症状の改善には、耳鼻咽喉領域を良くする事が大切となります。

(3)免疫力の改善

耳鳴りの症状を改善するためには、免疫力を上げる必要があります。免疫力とは何でしょうか?いわゆるウィルスや細菌をやっつけることも免疫力ですが、ここでは粘膜の状態を示します。

耳鳴りをお持ちの方の耳鼻咽喉領域の粘膜は、必ずしも良い状態とは言えません。咽鼻粘膜の状態が良くない方は、耳鳴りになりやすくもあります。

内臓の状態を良くする事は免疫力の改善に必要です。冷え性の方に耳鳴りが大きくなりやすい傾向もあります。肝臓・小腸は皮膚や粘膜を強化する働きがあります。この部分を調整する事により、免疫力の状態が改善されます。

耳鳴りの原因を、耳だけの問題ととらえず、全身の問題として治療をする事が耳鳴りを治すには、とても大切な事です。

(4)自律神経のバランスの改善

耳鳴りは自律神経のバランスを乱し、不安・うつ・不眠・めまい・動悸・息苦しさなどの自律神経失調症の症状を引き起こします。

自律神経のバランスが乱れますと耳鳴りが大きくなる悪循環を引き起こします。自律神経の特に交感神経が過敏になりすぎている状態の方が多いので改善が必要です。

耳や脳などの検査で、異常がないと言われた方は自律神経の乱れが耳鳴りの原因になっていること多いのです。自律神経を治療する事が耳鳴りの改善には必要です。

耳鳴りは本当につらい病気です。他人から理解されず、病院でも治らないと言われると一人で悩まなくてはなりません。一生治らないのでは?と悩まれる方も多い病気です。耳鳴りは、原因を見つけ、しっかりと治療すれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。

耳鳴りの治療

耳鳴りは、実際には音が鳴っているわけではないのに、耳の中で「キーン」「ジーッ」といった音が聞こえる不快な症状です。程度差はあっても、多くの方が経験されていると言われています。生理的なもので自然に治まる耳鳴りもあれば、治療が必要な耳鳴りもあります。

耳鳴りが長引くと、精神面にも影響してきます。日常生活や睡眠に支障が出てくることもありますので、できるだけ早く耳鳴りを治したいものです。

耳鳴りの治療法は、その原因によって異なります。耳鳴りには、重大な病気が潜んでいる場合や緊急を要するものがありますので、まず原因を特定することが大切です。耳鳴りの原因となっている病気の治療をすることで、耳鳴りの症状が治まる可能性があります。

耳鳴りの治療法を知ることは、耳鳴りを治すためにとても大切です。このページでは、耳鳴りを治したい方のために、耳鳴りの治療について詳しく説明しております。

1.耳鳴りの治療法について

耳鳴りの治療法は、耳鳴りのタイプによって異なります。まず耳鳴りの原因が何であるかを知ることが必要です。

耳の障害、脳や全身の病気、心因性、加齢など、原因はさまざま考えられます。最適な治療法を見つけるために、詳細な検査を受け、耳鳴りの原因を突き止めましょう。

特に注意が必要なのは、重大な病気による場合と緊急性を要する場合です。

耳鳴りを起こしている原因となる病気に心当たりがある場合は、受診する病院が判断できます。少数ですが、「耳鳴り外来」が設置されている病院もありますので、可能であれば相談してみましょう。

耳鳴りの治療は、薬物療法が基本ですが、一定期間を過ぎても改善が見られない場合は、薬が合っていない可能性があります。耳鳴りの治療は、薬物療法以外にも東洋医学や民間療法と呼ばれる方法があります。時間がかかるので気長に行う必要がありますが、耳鳴りが改善される可能性があります。

・鍼灸治療

ツボに鍼(はり)やお灸(きゅう)で刺激を与え、血流を改善します。

・指圧

ツボを強く圧迫します。

・マッサージ

押す、こねるなどの動きで筋肉をリラックスさせ、自然治癒力を高めます。

・整体

骨格のゆがみを修正します。

・カイロプラクティック

温熱療法の一種で、患部や全身を温めます。

・リフレクソロジー

足のある部位を押すことにより、そこに関連のある体の部位の症状が改善できます。

・漢方

漢方薬を飲み続けることによって、体質改善を図ります。最低3カ月は継続する必要がありますが、長期的改善策としてはお勧めの方法です。

鍼灸治療による血流の改善、整体による骨格のゆがみの修正、漢方による体質改善を図ることで、耳鳴りが治ったという例もよくあります。気長に続けることが必要ですが、病院での薬物療法とともに、これらの方法も取り入れ、日常生活の改善も心がけましょう。

日常生活の改善としては、食生活の改善、規則正しい生活リズム、飲酒や喫煙を控える、充分な睡眠、運動の習慣などがあります。また、耳鳴りを意識しすぎることはストレスの連鎖となり、よくありませんので、音響療法等で耳鳴りをストレスと感じなくなる治療もお勧めです。

2.緊急を要する耳鳴りの治療

緊急を要する耳鳴りの治療とは、脳や血管に関する疾患が原因となっている場合や突発性難聴の場合です。命に関わる場合や予後を左右する場合がありますので、以下のような症状に該当するときは迅速に対応してください。

・脳や血管に関する疾患

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。これらの前兆として耳鳴りの症状が出ている場合があります。耳鳴りとともに、頭痛、吐き気、意識が遠くなる、ろれつが回らないなどの症状が見られる場合は、救急車を呼びましょう。早急な対応が必要です。

・突発性難聴

突発性難聴は、突然発症し、耳鳴り、耳がつまった感じ、めまいの症状が見られます。発症後48時間以内の対応により、予後が左右されますので、早い受診が必要です。

ステロイドホルモンの大量投与が一般的で、血漿増量剤、ビタミン溶液の点滴なども行います。

3.耳・それ以外に原因のある耳鳴りの治療

・耳に原因のある耳鳴り・・・耳鼻咽喉科が専門です。

・外傷(鼓膜の破れなど)・外耳炎・中耳炎による耳鳴り

薬剤の内服や塗布により、患部の炎症を抑えたり、自然治癒を促したりします。

・難聴による耳鳴り

難聴の場合、音を聞き取ろうと脳が感度を上げ、必要のない雑音を拾ってしまい、それが耳鳴りとなります。補聴器の使用により、聞こえる範囲が広がると感度を上げる必要がなくなり、耳鳴りが治まると言われています。他にビタミン剤の投与、カウンセリング、耳鳴りをストレスとして感じなくする音響療法があります。

・メニエール病による耳鳴り

内耳のリンパ液が増えすぎることが原因とされ、耳鳴りとともに激しいめまいを感じます。薬物療法で辛い症状を抑え、利尿薬等でリンパ液の調整を行っていきます。

・それ以外に原因のある耳鳴り

・血管性の耳鳴り

血管に障害がある場合に起こります。高血圧や動脈硬化が関係していることもあり、降圧剤の使用で血圧を下げるなど、もとの疾患を治療することで耳鳴りを改善することができます。

・聴神経腫瘍による耳鳴り

手術により腫瘍の除去や、放射線治療を行います。腫瘍が神経を圧迫するために耳鳴りが起こるので、腫瘍がなくなることで、耳鳴りも治まると考えられます。

4.心因性の耳鳴りに対する治療

病院で検査を受けても、耳や脳に異常が見られず原因が特定できない場合、ストレスなど心因性の耳鳴りが考えられます。ストレスにより耳鳴りが起こると、その耳鳴りによりさらにストレスが生じ、悪循環になります。

心因性の耳鳴りに対する治療は、ストレスを小さくする方法をとります。ストレスが解消すれば、耳鳴りも改善されます。時間はかかりますが、あせらず治療にのぞみましょう。

・行動療法

ストレスが耳鳴りの原因となっている人は、仕事のためなら自分の体を犠牲にするなど、まじめで几帳面な性格の方が多いので、ゆとりの時間を持つよう、行動パターンの見直しを行います。

・認知行動療法

義務感の強い考え方を修正して、プラス思考へと導きます。考え方が変われば、行動パターンにも変化が現れ、体がリラックスでき、耳鳴りの症状も改善が望めます。

・バイオフィードバック療法

ストレスは筋肉の緊張を高めます。筋肉の緊張を視覚で確認できるように筋電図を測定します。これによって、ご自分がどのようなときに緊張するかが分かり、コントロールできるようになります。

・薬物療法

精神安定剤や抗不安薬、睡眠導入剤により、精神の安定、睡眠の質の向上を図り、リラックスした状態を保ちます。

・ウォーキング

気軽に行いやすいので、ぜひ取り入れたい有酸素運動です。毎日ウォーキングを行うことにより、ストレス解消になりリフレッシュできます。

軽い疲労感からよく眠れるようになります。充分な睡眠がとれると、疲労回復につながり、耳鳴りも改善が見込めます。

耳鳴りは、さまざまな原因が考えられ、自然に解消するもの、緊急を要するもの、長期の治療が必要なものがあります。適切な治療を行えば、耳鳴りは治ります。

どうぞあきらめないでください。

耳鳴りの種類

耳鳴りは、国民の1割以上が経験したことのある、身近で不快な症状です。耳鳴りの種類は、症状や原因など分類の仕方により、さまざまに分けられます。耳鳴りをともなう病気は、早期発見と早期治療が大切です。放置するのは好ましくありません。

耳鳴りの種類によって、受診する医療機関が異なります。まずは耳鼻咽喉科を受診し、原因が特定できないときは、脳神経外科、神経内科、診療内科等の受診が考えられます。

耳鳴りの種類の知識があれば、早めに対処することができます。耳鳴りの種類を事前に知ることは、耳鳴りを治すためにとても大切です。このページでは、耳鳴りを治したい方のために、耳鳴りの種類について詳しく説明しております。

1.耳鳴りはなぜ起こるのか

耳鳴りはなぜ起こるのでしょうか。耳鳴りといっても、原因は耳だけとは限りません。脳に異常が生じたときにも耳鳴りは起こります。

耳に届いた音は、内耳にある蝸牛(かぎゅう)で電気信号に変換され、聴覚路(音として認識されるまでの経路)を通って脳内の聴覚野まで伝えられます。

この際、視床(ししょう)という部位で、重要な音か不要な音かを判断されます。

たとえば、危険を知らせる報知器やサイレン、自分に話しかけられる声は「重要な音」、電化製品の運転音などは「不要な音」と判断されるのです。

聴覚路に何らかの障害が生じると、音を聞く機能の調整がうまくいかず、不要であるはずの音まで拾ってしまいます。これが耳鳴りの症状として現れるのです。

2.耳鳴りの種類

耳鳴りの種類は、症状の特徴や原因などにより、さまざまに分類されます。生理的なものから、重大な病気が関わっているもの、心因性のものなどがあります。

聞こえ方による分類

・生理現象

静かな所で「シーン」という音が聞こえることはよくありますが、自然な生理現象ですので、心配ありません。

・自覚的耳鳴り

耳鳴りの大半を占め、ご本人だけに聞こえる耳鳴りです。病気が原因であることが多いです。

・他覚的耳鳴り

体内に音源が存在し、検査により他者にも確認ができる耳鳴りです。耳の周辺の筋肉がけいれんすることにより「コツコツ」「プツプツ」といった音が一定のリズムで聞こえます。耳周辺の血液の流れが「ザーザー」と聞こえるものもあります。高血圧で起こりやすい耳鳴りです。

音の高低による分類

・高音性の耳鳴り

「キーン」といった金属音のような耳鳴りです。耳をふさぐと音が大きく聞こえます。老人性難聴、突発性難聴、騒音性難聴、自律神経失調症などでみられます。

・低音性の耳鳴り

耳閉塞感があり「ブーン」「ゴーッ」といった低い音が聞こえます。ストレスや気圧の急激な変化でみられますが、危険性は低い場合が多いです。

・「ジー」というセミのような音

突発性難聴が考えられ、聴力回復のためには早急な受診が必要です。

継続性による分類

・急性の耳鳴り

突然激しい耳鳴りが起こるもので、突発性難聴やメニエール病が考えられます。

・慢性の耳鳴り

強弱を繰り返し、症状が長く続きます。老人性難聴やメニエール病が考えられます。

聞こえる耳鳴りの数による分類

・単音声耳鳴り

耳鳴りの音が1つの場合をさします。

・雑音性耳鳴り

複数の異なる音が聞こえます。難聴の障害が広範囲に及んでいる場合や、原因が複雑な場合が考えられます。

3.耳に関係する耳鳴り

耳に関係する耳鳴りでは、耳で音を集める段階で障害が生じている場合があります。

  • 鼓膜破裂:外部からの強い衝撃で鼓膜が破れる
  • 耳硬化症:アブミ骨の動きが悪く鼓膜に音がうまく伝わらない。若い世代に起こることが多く、放置すると難聴へと移行することがある

 

耳鳴りの原因となりやすい耳の病気をご紹介します。

・外耳炎

耳に水が入ったり傷ができたりして起こる炎症

・滲出性中耳炎

アレルギーや風邪により、鼓膜からの分泌液がたまる。治療が遅れると悪性中耳炎に移行することがある

・耳管狭窄(きょうさく)症

鼻粘膜の炎症により、必要なときに耳管を開くことができず低音の耳鳴りが起こる

・メニエール病

内耳のリンパ液が増えすぎ、神経を圧迫して、激しいめまいとともに耳鳴りや難聴、耳閉塞感が起こる

・突発性難聴

片側の耳に難聴と耳鳴りが起こり、めまいもともなう。

・外リンパ瘻(ろう)

くしゃみや鼻を強くかむことにより、内耳窓という部分に穴があき、リンパ液が漏れてしまう病気。耳鳴りとともに、耳閉塞感、難聴、めまいなどが起こる

耳に関係する耳鳴りは、難聴と関わりが深いと言われます。聴力の低下があると、脳が音を聞き取るために聴神経の感度を高めようとします。その結果、受け取る必要のない電気信号まで拾うことになります。その不要な音が耳鳴りの症状となるのです。

難聴は、加齢によるもの、大音量で音楽を聴く、騒音の多い生活環境で過ごすなどで起こりやすく、耳鳴りの症状が出ます。特に注意が必要なのは突発性難聴です。発症後48時間が予後を左右すると言われています。

また、日常の小さな不注意から耳鳴りを生じることがあります。耳垢がたまって耳の穴がふさがっている、泳いだあとに耳に入った水が出ないなどが、耳鳴りを招くこともあります。これらは、耳掃除をする、綿棒で水分を除去するなどで耳鳴りを防ぐことができます。

4.脳に関係する耳鳴り

脳に関係する耳鳴りは、脳疾患の症状の一つとして現れます。

耳から入った音は脳内で処理されるのですが、脳に異常があると、「キーン」という高い金属音のような耳鳴りがします。

同時に、めまいや嘔吐をともなうこともあります。

「ドクドク」という脈打つような音の拍動性耳鳴りも、脳の異常から起こる耳鳴りなので、注意が必要です。

脳の異常が原因で起こる耳鳴りは、命に関わる可能性がありますので、早急な対応が必要です。脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など、重篤な疾患の前触れとして耳鳴りが起こることがあります。

耳鳴りと同時に、言葉が出ない、吐き気がするなどの症状が合わせてみられるときは、即座に救急車を呼んでください。

5.耳や脳以外に関係する耳鳴り

耳や脳以外に関係する耳鳴りもあります。耳鳴りを引き起こす原因は、耳や脳だけにあるとは限りません。

ストレスやうつ状態、自律神経失調症など精神的な疾患から、耳鳴りが起こることもあります。

耳鳴り自体がつらい症状であり、ストレスとなるので、回復には少し時間がかかります。不安を取り除き、リラックスできる環境が必要です。

甲状腺や糖尿病、高血圧、顎関節の歪み、女性ホルモンの減少による更年期障害も関連性があります。高血圧の場合、他覚的耳鳴りが生じやすく、検査で音を確認することができます。

免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなり、帯状疱疹や風疹でも耳鳴りの症状がみられることがあります。

耳鳴りの症状を悪化させるものに、睡眠不足、疲労、飲酒、喫煙などがあります。耳鳴りの症状があるときは、このような生活習慣も少し見直してみましょう。

耳鳴りは身近な症状です。自然に解消する耳鳴りもあれば、重篤な病気が関わっている場合もあります。心配のない耳鳴りなのか、緊急を要する耳鳴りなのかを判断するために、事前に耳鳴りの種類について知っておくことはとても大切です。

そして、放置することなく、医療機関で耳鳴りの検査を受けてください。

耳鳴りは、タイプに応じた適切な治療を行えば改善する病気です。どうぞあきらめないでください。

耳鳴りの原因

耳鳴りを経験されている方は、国内で1割を超えていると言われています。耳鳴りは身近な症状であると言えます。

耳鳴りの原因を特定するのは難しいのですが、耳・脳・全身の病気やストレスなど、考えられる要素がいくつかあります。耳鳴りの原因によって、その治療法は異なります。

耳鳴りは、音を聞くしくみに障害が生じることによって起こると考えられています。最近の研究によると、耳鳴りの症状がある人には「聴力の低下」が多くみられるということです。

加齢・騒音・薬物・感染などが原因となって起こる「難聴」が、耳鳴りの発生に大きく関与していることもわかってきています。

耳鳴りには重大な病気が関わっていることもあり、耳鳴りを起こしている原因によっては、緊急性の高いものもあります。耳鳴りの原因について知識があれば、適切な対応をすることができます。

耳鳴りの原因を知ることは、耳鳴りを治すためにとても大切です。このページでは、耳鳴りを治したい方のために、耳鳴りの原因について詳しく説明しております。

1.耳鳴りの種類

耳鳴りの種類には「自覚的耳鳴り」と「他覚的耳鳴り」があり、自覚的耳鳴りが圧倒的に多いと言われています。

「自覚的耳鳴り」とは、ご自身だけが聞きとり可能な耳鳴りです。「他覚的耳鳴り」とは、検査で実際の音を拾い、他人でも確認できる耳鳴りです。

耳鳴りの原因によっては、早急に対応する必要のある場合があります。耳鳴りには、突然症状が出る「急性」のものと、長期にわたる「慢性」のものがあります。

急性の耳鳴りには、別の病気が潜んでいる可能性があるので、注意が必要です。難聴が関わっている耳鳴りは急性タイプです。

「ドクドク」という脈打つような音がする耳鳴りを「拍動性耳鳴り」と言います。このタイプも、脳内の異常による大きな病気が隠れている可能性がありますので、注意が必要です。耳鳴りが継続する場合は、耳そのものの疾患が原因となっている可能性もあります。

「急性」や「拍動性」の耳鳴りが発生したら、専門医を受診してきちんと検査をしてもらいましょう。特に難聴がある場合、48時間以内の処置が予後を左右しかねないので、緊急医療機関に連絡することをお勧めします。

「慢性」の耳鳴りは、加齢や外傷経験、精神的なストレスなどが関係しているケースが多いようです。長期にわたるので、耳鳴り自体がストレスとなります。

2.音を聞くしくみ

音を聞くしくみから、耳鳴りが発生するメカニズムを理解することができます。

音の振動は、耳介(じかい:外側に張り出している一般に耳という部分)から外耳道を通り、内耳の蝸牛(かぎゅう)という部分に届きます。

音は蝸牛によって電気信号に変換され、聴覚路(音と認識されるまでの経路)を経由して、脳の聴覚野に伝達されます。

耳から届いた音は、視床(ししょう)という部位によって、要・不要に選別されます。火災報知器やサイレンなどの音は、危険を知らせるための「重要な音」として脳の聴覚野ヘ送られます。「重要な音」が聞こえると、人の意識はそちらへ向きます。

反対に電化製品や時計などの音は、特別意識しない限りは気になりません。視床によって「不要な音」と判断されてしまうからです。

実は、耳鳴りのような音は常に存在しているのですが、「不要な音」と判断されるものは聞こえていないだけなのです。「不要な音」が耳鳴りとして聞こえるようになるのは、音の選別やボリュームの調整を行う聴覚路に何らかの障害が生じているためです。

耳鳴りは難聴にともなうケースが多いのですが、聴力が低下すると、弱まった信号を強めるために、脳が聴神経の感度を高めようとします。その結果、「不要な音」であるはずの電気信号まで拾うことになり、それが耳鳴りとなると言われています。

3.耳鳴りの原因

耳鳴りの原因として、耳・脳・全身の病気、ストレスなどが考えられます。病院で検査を受け、原因が特定しやすいのは耳の病気がある場合です。

滲出(しんしゅつ)性中耳炎や外耳炎、耳垢塞栓(じこうそくせん:耳垢がたまりふさがっている状態)、鼓膜破裂などがあります。

・滲出性中耳炎

アレルギーや風邪によって起こり、難聴や耳閉塞感とともに耳鳴りを生じます。

・外耳炎

耳かきなどによる傷や耳に水が入ることによって外耳に炎症が起こり、耳鳴りを生じることがあります。耳鳴りは難聴と関わりが深いのですが、難聴の原因となる病気があります。突発性難聴、メニエール病、聴神経腫瘍、外リンパ瘻(ろう)、脳血管異常などです。

・突発性難聴

ウイルス感染や内耳の血流障害により、片側の耳に難聴と耳鳴りが起こり、めまいをともなうこともあります。

・メニエール病

内耳の内リンパ液が過剰に増えることによって起こり、激しいめまい、難聴、耳閉塞感とともに耳鳴りを生じます。

・聴神経腫瘍

聴神経にできる良性の腫瘍ですが、神経を圧迫することにより、難聴や耳鳴りを生じます。

・外リンパ瘻

くしゃみや鼻を強くかむことによって、内耳窓という部分に穴があく病気で、耳閉塞感や難聴とともに耳鳴りを生じます。

・脳血管異常

動脈硬化などで脳血管が詰まる脳梗塞などがあり、めまいや難聴、顔面麻痺とともに耳鳴りを生じます。

慢性の耳鳴りには、頭部外傷の後遺症、加齢による難聴、騒音に囲まれた環境、精神的ストレスなどが影響すると考えられます。また、耳硬化症や代謝疾患も原因となることがあります。

その他に耳鳴りを起こす病気として、高血圧、糖尿病、動脈硬化、自律神経失調症、更年期障害などがあります。

耳鼻咽喉科で原因が特定しにくいのが、ストレスなどの精神疾患です。ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、内耳や脳の血流に異常をきたすことになり、耳鳴りの症状などを起こします。

不安感や疲労の蓄積、睡眠不足なども耳鳴りを起こす原因となります。ストレスが原因と思われる場合は、診療内科や精神科を受診しましょう。

4.耳鳴りの治療法

耳鳴りの治療法は、その原因によって異なります。中耳炎や耳垢塞栓など耳の病気を原因とする耳鳴りでは、まずその病気の治療を行います。

難聴がある方は、周囲の音が小さく聞こえるため、耳鳴りの音が相対的に大きく聞こえます。

そのため、補聴器を使用すると、聞き取れる音が増え、耳鳴りの症状を緩和することができます。

精神疾患が原因となっている耳鳴りは、治療にやや時間がかかります。自律神経のバランスが崩れ、耳鳴り以外にも睡眠障害やめまいなど、さまざまな症状を抱えている場合が多くあります。不安を解消し、リラックスできるようになる訓練や周囲の協力が必要です。

音響療法という治療法があります。優しい自然の音などを用い、耳鳴りがあっても気にならないレベルになることを目標として、耳を慣らす方法です。

治らないと言われる耳鳴りですが、原因を見つけ治療する事が大切です。耳鳴りはしっかりと治療をする事により改善する病気です。どうぞあきらめないでください。