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低音障害型感音難聴を治すために

低音障害型感音(かんおん)難聴とは、低音部分だけが聞こえにくくなる病気です。

感音難聴とは、内耳に機能障害が生じ、体内に取り込んだ音の振動をうまく脳に伝えられないために起こる難聴のことです。感音難聴の中で、難聴が低音域だけに起こるケースを低音障害型感音難聴と言います。

低音障害型感音難聴は耳が詰まった感じ聞こえにくさ耳鳴りなどの症状がみられ、突発性難聴やメニエール病と似ているのですが、めまいの症状がない点が相違点です。

低音障害型感音難聴は2040代の女性に多く発症し、育児や仕事の忙しさからくるストレスが影響しているのではないかと考えられています。

低音障害型感音難聴は、突発性難聴のように突然難聴になるというのではなく、症状が軽めなので放置されることも多いようです。自然治癒することもあるのですが、きちんと治療をしなければ場合によっては症状が悪化することもあります。

低音障害型感音難聴は治る可能性の高い病気ですが、一方で再発しやすい病気でもあります。早期治療をすれば短期間で治ります。症状が軽いからと放置せずに、できるだけ早く治療を開始しましょう。

低音障害型感音難聴を治すためには、低音障害型感音難聴の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、低音障害型感音難聴を治したい方のために、低音障害型感音難聴の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.低音障害型感音難聴とは

低音障害型感音難聴とは、低い音だけが聞こえにくくなる病気で、急性感音難聴の一つです。感音難聴は、内耳から大脳への聴覚伝達経路が障害されることで生じます。

感音難聴の中で急に症状が現れる急性感音難聴には、低音障害型感音難聴、突発性難聴、メニエール病などが含まれます。低音障害型感音難聴は完治する可能性の高い病気です。しかし再発もしやすいと言われています。

低音障害型感音難聴は、急性低音障害型感音難聴や急性低音障害とも呼ばれています。低音部分が聞こえにくいだけではなく、耳が詰まった感覚耳鳴りの症状もあります。

低音障害型感音難聴は、突発性難聴と似た症状がみられますが、突発性難聴にみられるようなめまいの症状はありません。

また、メニエール病とも症状が似ていますが、メニエール病特有の回転性めまいの症状がないことで鑑別されます。

聞こえ方の部分だけメニエール病と似た症状が出ているため、めまいを伴わないメニエールという意味で、蝸牛(かぎゅう)型メニエール病と呼ばれることもあります。蝸牛は内耳にあり、聴覚をつかさどる感覚器官です。

低音障害型感音難聴は2040代の女性に多くみられ、育児や仕事によるストレスが関係していると考えられています。

2.低音障害型感音難聴の症状

低音障害型感音難聴の症状として次のようなものがあります。

  • 低音部分が聞こえにくい
  • 低音の耳鳴りがする
  • 耳が詰まった感じがする
  • 音がひずんで聞こえる
  • 自分の声が響いているように感じる

低音障害型感音難聴の症状は、突発性難聴やメニエール病と似ていますが、それらに特有のめまいの症状がありません。また突発性難聴のように急激に難聴になるのではなく、軽い症状から始まるため、そのうち治まるだろうと放置されることも多いようです。

低音障害型感音難聴は突発性難聴に比べると症状が軽く、治る可能性が高いとされています。軽度の難聴なので、相手と対面しての会話には支障がありませんが、離れた場所からの呼びかけに気づかなかったり、騒がしい所での会話が聞き取りにくかったりします。

低音障害型感音難聴の症状は、完治するケースが多いのですが、再発もしやすいのです。23割の方に再発が見られ、再発を繰り返していると治るのに時間がかかったり症状が悪化したりすることがあります。

場合によっては、低音域だけでなく高音域まで聞こえにくくなることもあります。症状がいったん治まって1年~1年半後に再発する可能性が高いと言われています。

3.低音障害型感音難聴の原因

低音障害型感音難聴の原因は内耳の中にある蝸牛の機能異常です。蝸牛は聴覚をつかさどっています。蝸牛にはリンパ液が入っており、その圧が一定に保たれることで、聴覚機能が正常に働き、音が聞こえるのです。

ところが、蝸牛の中のリンパ液の排出がうまくいかなくなって増えすぎてしまうと、蝸牛内の圧が高くなり、むくんだ状態になります。そうすると神経伝達がスムーズに行われなくなり、低音を感知する部分に機能障害が起こります。そのために低音部分が聞こえにくくなるのです。

蝸牛のリンパ液のバランスが崩れるのは、ストレス睡眠不足疲労などによるとされています。2040代の女性に発症しやすいのは、育児や仕事の影響がこれらの要因を引き出しているためではないかと考えられます。

ストレスは自律神経に影響を及ぼし、交感神経優位の状態になりやすくなります。そうすると毛細血管が縮んでしまい、余分なリンパ液を排出しにくくなり、蝸牛に多くたまりすぎてしまうのです。

4.低音障害型感音難聴の治療

低音障害型感音難聴の治療をする前に、まず似た症状を示す突発性難聴やメニエール病と鑑別しなければなりません。めまいの有無がポイントです。

また、聴神経の腫瘍でも低音障害型感音難聴と似た症状が見られますが、低音障害型感音難聴であれば、画像検査で異常は見られません。

低音障害型感音難聴は軽い症状から始まるので、治療をせず放置している方もいます。低音障害型感音難聴は8割以上の方が治ると言われており、23日で自然治癒するケースもあります。

とは言っても、放置して悪化する場合もあり、繰り返しやすい病気でもあります。場合によっては、軽い難聴が残るケースもあります。

低音障害型感音難聴の治療は主に薬物治療です。炎症を抑えたり血液循環を促したりする薬を使用します。

  • 血液循環改善薬
  • 利尿剤
  • ビタミン剤

薬物治療は12週間が多く、長期間ではないので、薬の副作用を心配する必要はありません。

低音障害型感音難聴は早く治療をすれば早く治ります。なんとなく聞こえにくいくらいの軽い症状でも、やはり不快なものではあります。早く治せるものならなるべく早く治したいものです。

また、低音障害型感音難聴はストレスや疲労が影響していると考えられるので、それらを少なくすることで、症状の改善や再発防止に役立ちます。体調不良の状態を長引かせないことが大切です。少し意識して生活を見直してみましょう。

  • 十分な睡眠をとる
  • 趣味などでストレスを解消する
  • 緑黄色野菜や果物などビタミンの多い食事をとる
  • 適度な運動をする

低音障害型感音難聴は回復することが多いのですが、再発することも多く、放置すると悪化したり、回復に時間がかかったりすることもあります。

低音障害型感音難聴は、ストレスや睡眠不足で疲れているというサインかもしれません。ストレスや疲労は他の病気を引き起こすきっかけにもなりえます。ご自分の体を休ませてあげましょう。

低音障害型感音難聴は完治する可能性が高く、治療を早く開始すれば早く治る病気です。適切な治療と生活の見直しで、不快な症状を早く治しましょう。どうぞあきらめないでください。

音響障害を治すために

音響障害は、予期せず強大な音を聞いたり、大きな音を長時間聞き続けたりすることで発症する難聴です。音響障害は、内耳の有毛細胞(音を感じる細胞)が大きな音によって傷つけられてしまうために起こります。

音響障害になると、聞こえにくさ耳鳴り耳の詰まった感じなどの症状が現れ、ひどい場合には耳の痛みやめまいも感じることがあります。

突然大きな音を聞いた後に聞こえにくい、始終音のする所で仕事をしていたらいつの間にか会話が聞きとりにくくなっていた、というのは音響障害の可能性があります。

大きな音に接している時間が多い人は、気づかないうちに音響障害になっているかもしれません。音楽が好きな人も発症しやすいので、ときどき聴力検査をしたり、話し声が大きくなっていないか周囲の人に聞いたりして、異常がないか確認しましょう。

音響障害は放置したり、繰り返したりしていると慢性化してしまうことがあります。できれば予防を心がけ、発症してしまった場合はできるだけ早く治療を開始しましょう。

音響障害を治すためには、音響障害の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、音響障害を治したい方のために、音響障害の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.音響障害とは

音響障害とは、強大な音を聞くことによって生じる難聴です。大きな音を聞くと、一時的に耳がキーンとなり聞こえにくくなりますが、多くは自然に治ります。耳が詰まった感じや、耳鳴り、難聴がすぐに回復しない場合を音響障害と言います。

音響障害は、強大な音による耳への障害が自然治癒の限界を超えたときに起こります。個人差もありますし、音の大きさや聞いていた時間によっても、発症する場合と発症しない場合があります。

爆発音や音響機器からの突発的な強大音によって生じた難聴を急性音響外傷と言い、痛みやめまいを伴うことがあります。予期しない音は避けようがありません。

これに対して、1日中騒音の中で働く人や、ヘッドホンで大音量の音楽を聞き続けていた人が難聴を発症した場合は、騒音性難聴と言います。騒音性難聴は耳が慢性的に音による刺激を受けることで起こります。

騒音性難聴はその原因によって、職業性難聴やヘッドホン難聴などと呼ばれています。職業性難聴の場合は、労災の対象となります。

2.音響障害の症状

音響障害の症状には次のようなものがあります。

  • 耳が詰まった感じ(耳閉塞感:じへいそくかん)
  • 耳鳴り
  • ある特定の音域が聞こえにくい
  • 耳の痛み
  • めまい

音響障害の症状はさまざまありますが、急性音響外傷の場合、強大な音を聞いた後、耳閉塞感が最初に現れます。耳閉塞感が治まると、耳鳴りや聞こえにくさといった症状が現れてきます。

急性音響外傷の場合、これらの症状は音源に近い方の耳だけに起こります。

急性音響外傷は、自然治癒するような一過性のケースもありますが、音によるダメージがあまりにも大きすぎた場合、耳鳴りや聞こえにくさに加えて耳の痛みやめまいを感じることもあります。

騒音性難聴の場合は、大音量に長期間さらされて少しずつ進行しているので、初期段階では症状に気づきにくいということです。職業性難聴やヘッドホン難聴は、状況を変えなければ症状が悪化する可能性があります。

騒音性難聴の症状で急性音響外傷と違う点は、耳閉塞感がないこと、同程度の難聴が両方の耳に起こることです。耳閉塞感など急激な変化がないため、音響障害に気づきにくいと言えます。

音響障害の症状は、音の大きさや接した時間にもよりますが、個人差もあり、その日の体調によっても異なります。症状が強ければ、日常生活に支障が出ることもあります。

音響障害は繰り返すことがあり、何度も繰り返していると症状が慢性化する可能性があります。

3.音響障害の原因

音響障害の原因は、大きすぎる音に接することです。突発的に大きな音を聞いたり、大きな音を長期間聞き続けたりすると、内耳の有毛細胞が障害を受けます。内耳の有毛細胞は音を感じ取る細胞ですので、ここが障害を受けると聴力が低下します。

急性音響外傷の場合、110dB(デシベル:音の大きさを表す単位)で起こり、130dBで耳が痛くなるとされています。

急性音響外傷の原因として、次のようなものがあります。

  • 音響機器からの突然の大音量
  • 落雷125dB
  • 花火:110dB

騒音性難聴は85dB以上の音を聞き続けることで発症するとされています。急性音響外傷の原因となるものほど大きな音でなくても、長時間さらされることで、内耳の有毛細胞に負担をかけ続けることになります。

騒音性難聴の原因としては、次のようなものが考えられます。これらの環境が長時間続くことによって、難聴を発症する可能性があります。

  • ヘッドホンやイヤホンを使用した大音量での音楽鑑賞100dB
  • ロックコンサートやライブ110dB
  • 工場や工事現場での作業
  • カラオケ
  • パチンコ店

熱心に仕事をしていたり、好きな音楽を聞いていたりしていただけなのに、知らないうちに聞こえにくくなっていたら、ショックでしょう。仕事ができなくなるのでは、音楽を聞くことができなくなるのでは、と不安になるでしょう。

最近はスマホや音楽プレーヤーで長時間音楽を聞く若い方も多いため、幅広い年代で音響障害を発症する可能性があります。

自分やご家族が音響障害を発症しやすい環境にいないか、チェックしてみましょう。症状の改善や予防のためには、まず自分にとって何が音響障害を起こす原因となるのかを把握することが必要です。

4.音響障害の治療

音響障害の治療は、主に薬物治療を行います。などを用いて、突発性難聴に準じた治療を行います。

突発的な音響障害は避けようがありませんが、一時的な症状で自然治癒する場合もあります。その限界を超えた場合は症状が残り、きちんと治療を行わなければ悪化する可能性があります。

音響障害は発症して1週間以内に治療を開始すれば、回復する可能性が高いとされていますので、2日たっても聞こえにくさや耳鳴りが残っている場合は、できるだけ早めに治療を開始しましょう。

慢性的な音響障害は、原因となる状況が長期間続いているために起こっているので、その状況を変えなければ、症状の改善は難しいでしょう。騒音のある環境を変えられないのであれば、大きな音からの影響を小さくする方法を考える必要があります。

騒音の中で仕事をしなければならない人は、支障がない範囲で耳栓などを使用しましょう。音楽を頻繁に聞く人は、少し音を絞る聞く時間を短縮する、ライブ会場ではスピーカーの近くは避けるなどして、音響障害のリスクを下げましょう。

音響障害は、大きな音によって耳がダメージを受け、難聴になる病気です。一時的な音響障害でも、繰り返すと慢性化して症状が悪化することがあります。繰り返さないよう、予防しましょう。

大きな音を避けられない場合もありますが、可能な限り音による障害を受けないですむようにしましょう。少しの工夫で音響障害を防ぐことができます。

音響障害は予防することができますし、発症した場合は、早めに治療を開始し原因となる環境を変えることで改善することができます。どうぞあきらめないでください。

メニエール病を治すために

メニエール病は、めまいや耳鳴りを症状とする耳の疾患です。フランスの耳鼻科医メニエールの名前が由来となっていますが、かつては脳出血の症状のひとつとされていました。メニエール病が、国内で特定疾患に指定されたのは1974年のことです。

メニエール病は男性よりも女性が発症する割合が高く、30歳代以降から50歳代が中心となっています。めまいや耳鳴りが持続する長さや程度は人それぞれですが、反復するという特徴があります。

症状を同じくする病気は複数ありますので、一定の基準に応じてメニエール病と診断されるまでに検査を重ねることになります。とくに脳血管系の緊急を要する疾患も、似たような症状を示しますので注意が必要です。放置すると重症化することになりますので、早めの受診が得策です。

メニエール病を治すためには、メニエール病の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、メニエール病を治したい方のために、メニエール病の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.メニエール病とは

メニエール病とは、耳の奥にある内耳(ないじ)部分に関する疾患です。内耳にある三半規管(さんはんきかん)や耳石器(じせきき)は、バランス感覚を保つために重要な役割をはたしています。

メニエール病は、それらの器官がある内耳を循環する内リンパ液が増えすぎて、水ぶくれになっている状態です(内リンパ水腫といいます)。他にリンパ液が関係するものとして、外リンパ瘻(ろう)がありますが、こちらは穴が開きリンパ液が漏れ出る疾患です。

どちらにしてもリンパ液は、適切な量が一定に保たれる必要があります。液体の均衡がくずれると本来の働きができず、平衡感覚に狂いが生じてしまいます。そうして、めまいや耳鳴りなどの症状が出現することになるのです。

2.メニエール病の症状

メニエール病の症状には、主に回転性のめまいや耳鳴りがあります。軽いめまいは、例えば貧血や疲労の蓄積などで、しばしば起こりがちです。とくに女性ですと、月経の影響で経験している方は多いでしょう。

症状の特徴としては、瞬間的にくらっとする一過性のめまいとは違い、短くても10分ぐらいから数時間は持続するものです。症状が強い場合は、ぐるぐる目がまわるほど激しく、気分が悪くなり嘔吐することもあります。

めまいの発作が起こる際に、前兆が見られるケースがあります。人により、起こりやすい状況や傾向がありますので、ご本人には「めまいが起こりそう」と自覚できることが多いようです。

具体的な症状としては、意味もなく冷や汗が出てきたり、気分が悪くなる、動悸がする、耳の閉塞感(へいそくかん:耳をふさがれた感じ)や耳鳴り、難聴(とくに低い音域で)、頭痛がする、じっとしているのにフラフラする(傾斜感や浮遊感)などです。

メニエール病は、生命を脅かす類の疾患ではありません。症状が軽いと、ありがちなものとして捉えてしまう傾向がありますが、そのままにしておいても自然に回復するわけではないのです。しだいに症状も重くなり、ただ立っているのもつらいなど、生活に影響が出てきます。

3.メニエール病の原因

メニエール病の原因は、内耳で内リンパ液が増えすぎることです。内リンパ液が増え、内耳の圧力が高まっているのがメニエール病の状態です。なぜリンパ液の調整がきかなくなるのか、その生理的な原理は解明されていません。産生量が増えるのか、吸収が悪いのかも不明です。

本来、内リンパ液と外リンパ液は働きも違うため、膜によって隔てられています。内耳圧が高まることにより膜が破れ、性質の違うこれらのリンパ液が混在してしまいます。このことが、めまいや耳鳴りの症状を引き起こす原因となるのです。

メニエール病でお悩みの方が多いのは先進国です。そのことから、原因となっている背景にストレスの存在が考えられます。メニエール病には心因的要素が関与していると、複数の医療研究者も示唆しています。

現代の社会でストレスが蓄積するのは、ある程度、仕方のないことです。過労や睡眠不足、とくに働きざかりの30歳代以降ですと、仕事に対する重い責任もあります。社会が複雑になると人間関係についても神経質になってしまいます。

感情を抑制すると、いつのまにかストレスが溜まっている状況に陥りやすくなります。ホルモンのバランスが崩れたり、自律神経の不調、アレルギー疾患など、原因の特定できない調子の悪さを抱えている方は多いでしょう。

このような中でメニエール病を発症していても、全体的な不調と相まって、診断の特定が遅れるケースもあります。ストレスは、ご自分でも気づかないことも多く、周囲に指摘されて初めて医療機関を受診する方も少なくないのです。

メニエール病にかかりやすい方の気質にも、ひとつの傾向があります。前述しましたストレスに対して耐性が少ない方です。性格は、几帳面でまじめすぎる、細かいことにこだわりを持ちすぎる、完璧を求めてしまう、くよくよと悩んでしまうといった面々です。

このような気質が、必ずしもメニエール病の原因に直結しているとは言い切れませんが、リスクをはらんでいることを認識されるのは大切です。精神面に負担をかけないことが、要因を遠ざけることにつながるのです。

4.メニエール病の治療

メニエール病の治療には、まず対処療法として薬物を適用します。めまいや気分の悪さ、頭痛や耳鳴りなど、直面しているつらい症状をとりあえず抑えて、平常心で通常の生活ができるようにする必要があります。

めまいの発作に対しては、抗めまい薬があります。症状がひどく、嘔吐や吐気もある場合は、まず安静にする必要があります。内服薬よりも、即効性のある点滴の投与や注射が適しているといえます。

発作の際に服用する吐き気止めや抗めまい薬は、発作の前兆を感じたら、すぐ服用するのが効果的なタイミングです。また頻繁にめまいの症状が出る方には、内服薬ではなく「神経ブロック療法」という方法もあります。

メニエール病では、内リンパ水腫によって水分バランスが崩れています。利尿薬を使用し、体内の水分を排出することで適正な状態に調整し、内リンパ水腫を軽減させます。また、むくみを取り除く効果がある血流改善薬を使用するのも有効です。

難聴や耳鳴りの症状では、聴力を改善させるためにビタミン剤が用いられます。また内リンパ水腫により末梢神経が障害を受けている場合は、ビタミンB12が細胞の代謝を促してくれます。

内リンパ嚢(のう)の詰まりをなくし、リンパ液の排出を促す外科手術の治療法もあります。しかし最近では、この方法はあまり適用されず、薬物療法などを優先させるのが主流となっています。

先にも述べました通り、メニエール病は精神的なストレスに起因するケースもみられます。治療では、ストレスの原因を追求し取り除くことが目的となります。心理療法や行動療法といった精神科の領域となります。

日常生活における食事や生活習慣の見直し、人間関係や仕事での柔軟な思考や処世術を身に着ける、趣味を充実させる、楽天的な考え方を取り入れるなど、生きていく上で肯定的になれる工夫をするのも、広い意味での治療となります。

メニエール病は耳の疾患ですが、耳鼻科医院の領域にとどまらないものです。治療は長期におよぶこともあるでしょう。しかし地道に続けることで改善できます。どうぞあきらめないでください。

良性発作性頭位めまい症を治すために

良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい症とは、頭の位置を変えたときに起こる回転性のめまいで、自分や周囲が回転しているように感じます。

良性発作性頭位めまい症は耳が原因で起こるめまいで、耳石(じせき)がはがれて移動してしまうために起こります。

良性発作性頭位めまい症では、上の方を見上げたり、頭を下げたり、横を向いたりと何でもないような動きでめまいが起こります。良性ですので、命にかかわるような深刻な病気と言われますが、本人にとっては不快で、突然起こるため、とても大きな不安も生じます。

良性発作性頭位めまい症は再発しやすい病気ですが、自然治癒も可能です。しかし、早期の適切な治療を行えばより早く回復し、再発を防ぐこともできます。

良性発作性頭位めまい症を治すためには、良性発作性頭位めまい症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、良性発作性頭位めまい症を治したい方のために、良性発作性頭位めまい症の症状・原因・治療について詳しく解説しております。

1.良性発作性頭位めまい症とは

良性発作性頭位めまい症とは、耳が原因となるめまいの一つです。めまいの中では最も多い症状で、年齢が上がるほど発症しやすいと言われています。

良性発作性頭位めまい症では、頭の位置を変えることで、突然、回転性のめまいが生じます。回転性のめまいとは、自分自身や周囲がぐるぐると回転しているような感覚です。

良性発作性頭位めまい症では、めまいが起こっているとき、吐き気や眼球の揺れが見られることもあります。耳に原因がある病気ですが、聴力の低下や耳鳴りはありません。

良性発作性頭位めまい症では、めまいは長く続かず、短時間で治まります。エプリー法という理学療法を行って症状の改善が見られた場合は、良性発作性頭位めまい症の可能性が高いと言えます。

良性発作性頭位めまい症は、「良性」と言われるように命にかかわるようなものではなく、通常は自然に治まります。しかし、急にめまいが起こるため、場合によっては転落や転倒の危険性があります。

2.良性発作性頭位めまい症の症状

良性発作性頭位めまい症の症状は、頭を動かしたときに突然起こる短時間のめまいが主症状です。このめまいは回転性のめまいで、自分や周囲がぐるぐると回転しているように感じます。

良性発作性頭位めまい症の症状は、上の方を見上げたとき、頭を下げたとき、横を向いたときなど、ある一定の向きに頭を動かしたときにだけ起こります。じっとしているときには起こりません。

良性発作性頭位めまい症で起こるめまいは長くは続きません。1回のめまいは数十秒程度であることが多く、長くても数分で治まります。めまいは繰り返すことがありますが、繰り返すうちに症状が軽くなります。

良性発作性頭位めまい症の症状としては、めまいのほかに吐き気嘔吐眼球の揺れが現れることがあります。しかし、難聴や耳鳴りはありません。また、突然めまいが起こるため、強い不安を感じることがあります。

3.良性発作性頭位めまい症の原因

良性発作性頭位めまい症の原因は、内耳の耳石器という部分にあるべき耳石(カルシウムの粒)が、耳石器からはがれて、三半規管(さんはんきかん)に入ってしまうことによる脳の錯覚です。

耳石器とは、頭の位置や重力など、外部の刺激を感じ取る部分で、通常はこの中に耳石は収まっています。しかし、加齢や耳の感染症、ケガ、メニエール病、長期間の安静状態などがきっかけとなって、耳石がはがれることがあります。

耳石は平衡(へいこう)感覚にかかわるカルシウムを含む粒で、体の傾きに応じて移動します。

三半規管は平衡感覚をつかさどる器官で、中はリンパ液で満たされています。このリンパ液の動きによって脳が体の傾きを感じ取っています。

耳石器からはがれた耳石が、頭の位置の変化によって三半規管に入ると、体が動きを止めてもリンパ液は揺れ続けます。リンパ液が動いているため体が動いていると脳は感じ取ってしまいます。脳が受け取った情報と実際の体の動きとが異なるために、めまいが起こります。

4.良性発作性頭位めまい症の治療

良性発作性頭位めまい症の治療を行う際は、検査をして良性発作性頭位めまい症であると判断されなければなりません。めまいが起こる病気はさまざまあり、脳に原因がある中枢(ちゅうすう)性めまいの場合は緊急性があります。

まず問診で、めまいがいつ、どれくらいの時間続いたか、ほかに症状はないかなど詳しく確認します。その後、身体の診察、眼振(がんしん:眼球の揺れ)検査などを行います。脳の病気の可能性がある場合はCTMRIなどの画像検査を行います。

良性発作性頭位めまい症は耳に原因がある末梢(まっしょう)性めまいです。中枢性めまいではないことが証明され、良性発作性めまい症と診断されたら、その治療を行います。

良性発作性頭位めまい症の治療は、耳石を元の位置に戻す理学療法と、再発を予防する運動療法を行います。薬物療法は良性発作性頭位めまい症自体の治療として行われるのではなく、つらい症状を抑えるために一時的に行われる場合があります。

(1)理学療法

三半規管に迷い込んだ耳石を元の位置に戻す方法です。いくつか方法がありますが、エプリー法で大半の方のめまいが改善されます。エプリー法は、頭や体の位置を変えていきながら耳石を移動させます。

エプリー法で耳石をきちんと元の位置に戻すためには、頭や体を動かす順序がありますので、適当に動かすのではなく、指導を受けて行いましょう。うまく耳石が戻れば、すぐに症状が治まり、めまいが起こったときの位置に頭を動かしても、めまいが起こりません。

良性発作性頭位めまい症はほとんどが自然治癒しますが、エプリー法などの理学療法を行った方が早く改善されるということです。

2)運動療法

良性発作性頭位めまい症は再発することが多いのですが、あえて頭を動かす運動をすることで、耳石をたまりにくくし、再発を予防することができます。めまいが起こりやすい姿勢を繰り返すことで、めまいが起こりにくくなります。

良性発作性頭位めまい症は安静にするよりも、積極的にめまいが起こりやすい体勢をとる訓練をする方が早く回復すると言われています。ただし、運動中にめまいが起こった場合は無理に進めず、症状が治まるのを待ちましょう。

3)薬物療法

薬物療法は良性発作性頭位めまい症そのものを治す治療ではありません。めまいや吐き気、不安感を抑えるために一時的に使用することがあります。症状が和らぐので、その後の理学療法が行いやすくなります。

良性発作性頭位めまい症は、突然めまいが起こるため、不安を感じる方が多いでしょう。めまいだけでなく吐き気を感じることもあります。

良性発作性頭位めまい症は、治療をしなくても、時間の経過とともに自然に治る病気です。しかし、再発しやすい病気でもあります。短期間とはいえ、不快な症状からは一刻も早く解放されたいでしょう。

良性発作性頭位めまい症は、適切な治療を行えば、より早く治すことができます。また、再発を予防する治療法もあります。早く回復すれば不安感も少なくなります。どうぞあきらめないでください。

耳管開放症を治すために

耳管開放症は、一般的にはあまりよく知られている病気ではありませんが、最近は増加傾向にあります。

耳管開放症とは、耳管が開いたままの状態になり、耳閉感(じへいかん:耳が詰まった感じ)自声強聴(じせいきょうちょう:自分の声が大きく響くこと)などの症状が出ることです。

耳管は通常は閉じた状態で、あくびや物を飲み込むなど、中耳の圧を調節する必要があるときのみ開き、またすぐに閉じます。しかし、さまざまな原因で耳管が閉じることができず、開いたままの状態になると、不快な症状が現れます。このような状態が長く続くと精神的にも影響してきます。

耳管開放症は、急激な体重減少、ストレスや疲労、睡眠不足、妊娠などが原因となって起こりやすいと言われています。耳管開放症は男性よりも女性にやや多くみられます。

耳管開放症は、軽い初期段階であれば、生活習慣の見直しなどで自然治癒することもあります。

耳管開放症を治すためには早期治療が大切です。耳管開放症を早期治療するには、耳管開放症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、耳管開放症を治したい方のために、耳管開放症の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.耳管開放症とは?

耳管開放症とは、必要なとき以外は閉じていなければならない耳管が開いたままの状態にあるために、さまざまな症状が現れることです。耳管とは、鼻咽腔(びいんくう:鼻の奥)と中耳腔(耳の奥)をつないでいる管で、中耳を守るために通常は閉じています。

耳管は、あくびや物を飲み込む、飛行機に乗る、高山に登る、エレベーターに乗るなど、中耳の圧調節が必要なときのみ開いて換気しますが、すぐに閉じます。耳管が閉じていることによって、鼓膜の振動は安定し、鼻咽腔から中耳ヘの雑菌の侵入を防ぐ役割も果たしています。

ところが、さまざまな原因で、耳管が開いたままの状態である耳管開放症になると、耳閉感(耳が詰まった感じ)自声強聴(自分の声が大きく響く)、呼吸音が聞こえる、中耳炎を起こすなど、不快な症状に悩まされます。

高低差のある所を移動し、気圧の変化があると耳が詰まった感じがしますが、通常はあくびや唾を飲み込むことで、解消されます。耳管がきちんと機能している証拠です。

しかし、耳管開放症では、耳管が開いたままになっているので、呼吸のたびに鼻咽腔から中耳へ空気が流れ、鼓膜の内外で気圧差が生じます。そのため、耳が詰まった感じや自分の声が大きく響くなどの症状が現れるのです。

2.耳管開放症の症状

耳管開放症の症状として特徴的なものがいくつかあります。耳管開放症の症状は、臥位(がい:寝ている状態)より立位で現れやすく、また激しい運動をした際に現れやすいと言われます。

(1)耳閉感

耳管開放症では、耳管が開いたままになっているため圧の調節ができず、耳閉感(耳が詰まった感じ)があります。唾を飲み込んでも耳抜きをしても治らず、耳閉感は続きます。

(2)自声強聴

自分の声が大きく響きます。耳元で話しかけられているような状態で、自分の声が中耳に直接響いてくるため、耳管開放症の症状の中で最も辛い症状であると言えます。自分の声が大きく聞こえるため、相手の言葉が聞こえにくくなり、会話に支障が出ることもあります。

(3)自分の呼吸音が聞こえる

声を出さないときは、自分の呼吸音が聞こえます。

(4)頭を下げて下を向くと症状が治まる

頭を下げると、耳管周辺の血管が膨張し耳管を圧迫して狭くなるため、耳閉感や自声強聴が軽くなります。入浴中や横になったときも同様です。この現象は、耳管開放症の特徴で、この現象がみられると耳管開放症と診断されます。

また、鼻をすすると一時的に症状が軽くなることがありますが、鼻咽腔の雑菌が中耳に入り、中耳炎を引き起こすことがあります。そのため、耳管開放症がある方は、鼻をすすらないよう気をつけましょう。

他に、めまい、頭痛、肩こり、鼻づまり、音程がずれて聞こえるなどの症状が現れることもあります。

3.耳管開放症の原因

(1)急激な体重減少

無理なダイエットや心疾患・がん治療などによって急激に体重が減少すると、耳管周りの必要な脂肪まで減ってしまい、耳管が開いたままの状態になります。耳管開放症の原因では、体重減少が一番多いと言われています。

(2)ストレス

ストレスにより自律神経のバランスが崩れたり、血行が悪くなったりして耳管の機能低下を起こします

(3)疲労・睡眠不足・栄養不足

疲労や睡眠不足が続いたり、偏った食事によって栄養が不足したりすると、耳管周辺の血行が悪くなり、耳管の機能が低下します。

(4)妊娠、ピルの服用

妊娠すると、ホルモンバランスの変化によって耳管開放症が起こることがあります。妊婦の約5人に1人の割合で、耳管開放症の症状が出ると言われていますが、一時的な症状であり、大半は出産後に回復するので、あまり心配する必要はありません。

4.耳管開放症の治療

耳管開放症は、症状が軽いうちは自然治癒が望めます。そのための生活指導があり、経過を観察します。できるなら、外科的な治療ではなく、自然治癒力で治したいものです。

耳管開放症の症状に気づいたら早く原因を突き止め、軽いうちに治療を開始しましょう。

(1)ダイエットを控える

急激な体重減少が原因である場合は、適正な体重に戻し、耳管周辺の脂肪の減りすぎを修正します。

(2)ストレスを解消する

ストレスや睡眠不足が原因である場合は、休養をとり、バランスの良い食事や軽い運動などで、リラックス、リフレッシュしましょう。耳管開放症の症状でさらにストレスを感じることもありますが、悪循環となりますので、趣味などで気分転換を図りましょう。

(3)水分を積極的にとる

血流を良くするために水分補給も大切です。

(4)耳周辺を温めたりマッサージしたりする

耳の周辺を温め、血行を良くします。耳の後ろにある骨(乳様突起)の後ろをマッサージすると症状が治まったという報告があります。

(5)横向きに寝る

仰向けより横向きになった方が、耳管が閉じやすいので、就寝時は横向きに寝るよう心がけましょう。

(6)漢方薬

1~2週間で症状の改善がみられます。

(7)生理食塩水を点鼻して耳管に注入する

中等度の症状では、下記のような治療法を試みます。

  • 耳管にルゴール液を注入する
  • 鼓膜チューブを入れる

難治性の症状には

  • 耳管周辺に脂肪を注入する
  • 経鼓膜的にシリコンを注入する

などの方法があります。

原因となる病気がある場合は、その病気の回復とともに耳管開放症の症状もよくなる傾向があります

鼻をすすって一時的に耳管開放症の症状を軽くしようとすると、中耳炎にかかる可能性があり、治療が難しくなりますので、耳管開放症がある方は鼻をすすらないよう気をつけましょう。

耳管開放症は、症状が軽い場合、生活改善などで自然治癒することも多くありますが症状が重くならないうちに、早く治療を始めることが大切です。耳管開放症は、適切な治療を行えばよくなる病気です。どうぞあきらめないでください。

血管性耳鳴りを治すために

血管性耳鳴りは、「ドクン、ドクン」「ザー、ザー」といった音が、心音と同じリズムで脈打つように聞こえる耳鳴りです。耳鳴りの中でも特徴的な聞こえ方といえます。血管性耳鳴りは、耳周辺や脳内の血流・血管に異常がある場合に起こります。

通常、耳鳴りはご自身にだけ聞こえ、他の人には聞こえない「自覚的耳鳴り」が多いといわれています。血管性耳鳴りは、心音に近い鼓動音が聞こえ、検査でその音を拾うことができます。つまり「他覚的耳鳴り」ということができます。

ただし、全身疾患によって引き起こされている血管性耳鳴りは、他覚的にとらえることができない場合もあります。

血管性耳鳴りは、原因によっては自然治癒するケースもありますが、脳の病気が原因となっていることもあります。脳の病気がある場合には、早急な処置が必要ですので、血管性耳鳴りを自覚した際は、まず医療機関で検査を受け、原因を調べることが重要です。

血管性耳鳴りを治すためには、血管性耳鳴りの症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、血管性耳鳴りを治したい方のために、血管性耳鳴りの症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.血管性耳鳴りとは

血管性耳鳴りとは、耳周辺や脳内の血流が、心臓の音と同じリズムで聞こえる耳鳴りです。「ドクン、ドクン」「ザー、ザー」といった音が脈打つように聞こえます。多くの場合、この音は、自覚症状としてだけでなく、検査機器でも拾うことができます。

リズムが脈拍より速いものは、内耳の筋肉がけいれんして起こる耳鳴りで、血管性耳鳴りではありません。規則的な耳鳴りがあるときは、脈をとりながら同じリズムであるか確認すると、血管性であるかそうでないかが、わかりやすいでしょう。

血管性耳鳴りは、血管が狭くなっていたり血流が速くなっていたりすることで起こります。自然治癒する血管性耳鳴りもありますが、症状が長く続く血管性耳鳴りは、脳の病気が引き起こしている可能性があります。

脳梗塞や脳出血など脳の病気がある場合には、命にかかわることもありますので、緊急の処置が必要となります。後遺症の可能性も考えなければなりませんので、放置していてはいけません。脈打つような耳鳴りが聞こえ、耳鳴りと脈が同じリズムであるなら血管性耳鳴りを疑い、早急に検査を受け、原因を調べてもらいましょう。

2.血管性耳鳴りの症状

血管性耳鳴りの症状の特徴は、脈打つようなリズムで血液の流れる音が聞こえることです。

「ドクン、ドクン」「ザー、ザー」といった音が、心臓の音と同じリズムで聞こえます。他の耳鳴りとは違った聞こえ方です。

「キーン」という高い金属音が聞こえる耳鳴りは、多くの場合、心因性の耳鳴りであると考えられます。「トク、トク、トク」というリズム感のある音でも脈拍より速いものは、内耳の筋肉のけいれんによって起こる耳鳴りです。血管性耳鳴りとは区別しなければなりません。

血管性耳鳴りと同時に頭痛や吐き気、めまいの症状がある場合は注意が必要です。脳梗塞や脳腫瘍など重篤な脳の病気や、突発性難聴の可能性があります。その場合、血管性耳鳴りは病気の症状の一つとして現れ、命や予後を左右しますので緊急を要します。

また、血管性耳鳴りは、甲状腺機能亢進症や高血圧症などの症状の一つでもあります。これらの病気の場合、脈が速くなるため、その音が伝わるのです。

耳鳴りとしての聞こえ方は、隠れている病気を診断する際の参考になります。血管性耳鳴りの場合、音の聞こえ方が特徴的でわかりやすいため、症状に気づいたらすぐに検査を受け、血管性耳鳴りを起こしている原因を突き止めましょう。

3.血管性耳鳴りの原因

血管性耳鳴りは、血流や血管に異常が生じて引き起こされていますさまざまな病気の症状の一つとして、血管性耳鳴りが現れます。

放置していては危険な病気もありますので、早く原因となる病気を突き止めることが大切です。原因として次のようなことが考えられます。

(1)動脈硬化

耳周辺には、内耳動脈や脳動脈などがあります。動脈硬化が起こると血管が細くなり、血液が流れるのに圧力がかかります。そのために音が鳴ります。動脈硬化は、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、くも膜下出血などを引き起こす危険性があります。

(2)動脈瘤(どうみゃくりゅう)

血管内に瘤(こぶ)ができる病気で、血液が流れにくくなります。動脈瘤を放置すると血管が破裂する可能性があるので、血圧をコントロールする必要があります。

(3)動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)

動脈から静脈に直接血液が流れ込む症状です。動静脈瘻があると、脳へ血液が逆流し、脳梗塞を起こす可能性があります。

(4)脳腫瘍

(5)高血圧症

急激な血圧上昇で脈が速くなり、その音が聞こえるのです。

(6)貧血

貧血があると脈が速くなり、耳鳴りがすることがあります。

(7)甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症では脈が速くなるため、その音が耳鳴りとなって聞こえることがあります。

脳出血や脳腫瘍、髄膜炎、頭部外傷などによる脳圧の上昇も、血管性耳鳴りを起こす原因となります。また、自律神経のバランスが崩れると、周囲の音より血管内の音の方を敏感にとらえてしまい、それが耳鳴りとして聞こえることがあります。

このような病気が見つからない場合は、首や耳周辺の筋肉の凝りやストレスなどから、血管性耳鳴りが起こっていることも考えられます。

4.血管性耳鳴りの治療

血管性耳鳴りは、その特徴的な症状からある程度、ご自身で見当をつけることができます。

規則的な耳鳴りがあるとき、脈をとって、耳鳴りと脈が同じリズムであるかを確認します。同じリズムであるときは血管性耳鳴りと考えられますので、早く医療機関で検査を受けましょう。

血管性耳鳴りの治療を行うには、まず検査で血管性耳鳴りの原因を突き止めることが必要です。問診、CT、MRIなどで、脳の病気があるのか確認します。

原因となる病気が確定できれば、薬物療法や外科手術など、原因に応じた治療を行います。早く原因を特定できるよう、自覚症状を正確に伝えましょう。

緊急を要する病気の有無をまず調べ、必要な場合は緊急処置が行われます。動脈硬化、動脈瘤、動脈や静脈の奇形、動静脈瘻などがある場合は、手術を要するケースもあります。緊急性がないと診断された場合は、薬物療法、心理療法、生活習慣の改善などをあせらず気長に行っていきましょう。

ストレスで自律神経のバランスが乱れることにより血管性耳鳴りが起こっている場合は、ストレスを解消することでバランスが整い、自然治癒することもあります。ストレッチや入浴、リラックス効果のある音樂などで、心身の緊張をやわらげましょう。ツボ治療や鍼灸治療、マッサージ、整体も効果があります。

また、疲労や睡眠不足も自律神経のアンバランス、ホルモンのアンバランス、血流の悪化を招く原因となりえます。休息をとりながら、バランスの良い食事と規則正しい生活リズムを習慣づけることが、血管性耳鳴りの改善へとつながります。

血管性耳鳴りは、原因を早く突き止め、それに応じた治療を行うことが大切です。症状を自覚したら早く、血管性耳鳴りを起こしている大きな病気がないか、詳しい検査をしてもらいましょう。血管性耳鳴りは、適切な治療をすれば治る病気です。どうぞあきらめないでください。

前庭神経炎を治すために

前庭神経炎は、強い回転性のめまいが起こる疾患です。吐き気をともない嘔吐する場合もあります。症状は数日に渡って続くこともあり、つらいものです。発作がおさまってもフラついた感覚が後日しばらくは残る可能性があります。

前庭神経は、耳の奥にある内耳に存在する部位です。身体がどのような平衡感覚の状態にあるのか、その情報を脳に伝える役割をもっています。名前の通り、前庭神経が炎症を起こすことで前庭神経炎は発症します

突然に起こるめまいには、危険な種類のものもあります。前庭神経炎は命にかかわる疾患ではありませんが、激しいめまいを感じたら、すぐに対処することが肝心です。めまいの種類によって、どのような症状が併発するのか事前に認識しておくと良いでしょう。

前庭神経炎を治すためには、前庭神経炎の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、前庭神経炎を治したい方のために、前庭神経炎の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.前庭神経炎とは

前庭神経炎とは、平衡感覚に係わる前庭神経が炎症を起こすことにより生じる、激しいめまいの疾患です。前庭神経は、耳の内部にある内耳から脳へ向かう場所に位置します。しかし、難聴や耳鳴りといった聴くことに関する症状は出ないのが特徴です。

めまいの程度は強く、また持続性があります。嘔吐や気分の悪さも伴いますので、安静にしていてもつらい状況となります。一度の発作で症状が数日間続くこともありますが、おさまってしまえば再発する可能性は低いといえます。

回転性のめまいで重要なのは、脳内の血管に異常が起きて生じる脳梗塞や脳出血といった重篤なものでないかという診断です。他にも耳の疾患であれば、突発性難聴ですと速やかに治療を開始する必要があります。とりあえず早急な診察をするのが得策です。

2.前庭神経炎の症状

前庭神経炎の症状では、非常に激しい回転性のめまいが起きることです。前兆があるわけではなく、また一過性のものではありません。

歩行するのも難しくなり、フラつくことによる転倒に気をつける必要も出てきます。

症状が持続するので、気分が悪くなり嘔吐することも少なくありません。ご本人や周囲の方々も驚いたり、あわてたりすると思われますが、命の危機にさらされる種類の疾患ではありません。

前庭神経炎は、症状が出現した最初の段階が最も強いといえます。発症した当日とその翌日ぐらいは安静にする必要があります。人により程度はありますが、23日から一週間前後で、めまいも収束していきます。

強いめまいの症状はおさまっても、微かなめまいや浮遊感は数か月にわたって残る場合があります。しかし他のめまいに見られるような、発作を何度も繰り返すということがないのが、前庭神経炎の特徴です。

よくある前庭神経炎の症状として、眼振(がんしん)があります。眼振は外部から観察したときに、患者様の視線がひとつの方向へ水平に動いているという症状です。検査をする際に眼振が起きているかを診るのが、別の疾患との見極めポイントのひとつとなります。

3.前庭神経炎の原因

前庭神経炎の原因は、明確には解明されていないのが現状です。ただ前庭神経炎を発症した方々が、その数日前にウイルス性の感染症や血行障害をわずらっているケースが見受けられます。

そのことから、これらの影響で前庭神経炎が生じるのではないかと考えられています。

原因として具体的には、カゼやインフルエンザ、おたふくかぜ、ヘルペス、食中毒などウイルスを介した感染症です。また、もともと血流が悪く、血行障害がある方などが発症する確率も高くなっています。

直近ではない過去に何らかのウイルス感染症にかかった経験がある場合も、前庭神経炎を発症する原因となります。体調が回復しても、いったん感染症にかかってしまうと、ウイルスは体内に潜んでいる可能性が高いのです。

おとなしくしていたウイルスは、免疫力や体力の低下といった身体が衰弱することをきっかけに、再び活発になることがあります。ウイルスが活動を始めると前庭神経が損傷を受け、前庭神経炎の原因となるのです。

4.前庭神経炎の治療

前庭神経炎の治療では、安静にすることが求められます。

重症の場合は、激しいめまいと、それに誘発されて起きている嘔吐感や気分の悪さ・精神の不安定などを取り除くことが優先されます。まずは平静な状態でいられるよう対処するのです。

前庭神経炎は、引き金となったウイルス感染症や血流障害などからの二次的な疾患といえます。元となった症状をきちんと治癒させることも大切です。対処療法とあわせて、根本的な治療も考慮していきます。

1)薬物療法

前庭神経炎で生じる症状に対し、有効な薬物があります。まず抗めまい薬は、内耳や脳周辺の血流を良くする効能があります。ただし消化器系の弱い方は副作用が出る可能性があります。

別の抗めまい薬で、前庭神経の血流改善に加え、脳へ伝達する神経作用を正常な働きに整える効果が期待できます。副作用の割合は低いのですが、口の渇きや食欲がなくなる、また持病で緑内障や前立腺肥大症のある方は注意が要ります

2)理学療法

前庭神経炎のめまいには、理学療法も有効な選択肢となります。平衡訓練(リハビリテーション)は定期的に行うことで、めまいに対してある程度の耐性を身につけることができます。平衡感覚を鍛え、回転やふらつきが出にくくするのです。

リハビリテーションは、専門医師の指導を受けることが大事です。安易に考え、我流で適当に行っても効果が得られるものではありません。怪我をしたり悪化をまねくことは避けたいものです。

3)原因となっている疾患の治療

ウイルス感染症や血行障害などの疾患が完治していなかったことが、前庭神経炎を引き起こしたそもそものきっかけです。とくにウイルスは、治まったようで体内に潜伏していることが多いものです。

一度、感染してしまうと完全に排除することは難しいとしても、活発化しないよう気を配ることはできます。疲労が溜まったり別の疾患で体力が奪われた時など、ウイルスは動き始めますので注意をしましょう。

前庭神経炎は、発症したら体に堪えますが、再発することはない疾患です。日頃から、適度な運動と栄養を考えた食事をして、一定の健康状態が保てるようにする事が重要です。どうぞあきらめず、治療に集中してください。

聴覚過敏症を治すために

聴覚過敏症は、通常より音が強く聞こえ、耳や頭に響き、イライラしたりパニック状態になったりする症状を言います。ストレスやプレッシャーを感じている方に現れやすいと言われています。他の人にはわかりにくいため、理解してもらうのが難しい症状です。

難聴を伴う疾患や脳の障害が聴覚過敏を引き起こしている場合は、その原因となる疾患を早急に治療することが重要です。ストレスなど精神的なものが原因となっている場合は、精神が安定できるような対応を考えなくてはなりません。

聴覚過敏症を治すためには、聴覚過敏症の症状・原因・治療について知ることが大切です。このページでは、聴覚過敏症を治すために必要な聴覚過敏症の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.聴覚過敏症とは?

聴覚過敏症とは、一般的には何でもないと思われる音が大きく聞こえ、耳や頭に響き、苦痛を伴う症状です。

難聴を伴う疾患や、脳の障害、自律神経の乱れ、ストレスなどによって引き起こされると言われています。

聴覚過敏症の方は、鋭く甲高い音に不快を感じることが多いようです。金属音や陶器が当たる音、女性や子どもの甲高い声、小走りの足音、継続する細かい作業音、ドアの開閉音など、気になる音はさまざまありますが、すべての音に反応する人もいれば、ある特定の音に反応する人もいます。

聴覚過敏症は、年齢や性別に関わりなく起こる症状で、精神状態や体調によって音に対する反応が違うこともあります。辛く感じるレベルも個人差があり、なんとか我慢できる程度から、パニック状態になるような重いものまでさまざまです。

聴覚過敏症は耳の症状ですが、中枢や内分泌に関わる重篤な病気の症状として現れていることがあります。その場合は、早急にその病気の治療をすることが必要です。また、精神的な要因も多い症状です。

聴覚過敏症は、ストレスの多い人、不眠症のある人、突発性難聴やメニエール病など難聴を伴う疾患のある人、月経前・月経中の女性、頭部・頸部に手術経験のある人、発達障害がある人などに起こりやすいとされています。聴覚過敏症の症状を自覚したら、原因となる病気や生活環境など見直してみる必要があります。

聴覚過敏症は、他の人にはわかりにくい症状です。周囲の人に症状を伝えることが必要です。

幼児など自分でうまく伝えられない場合、特定の音に耳を塞ぐなど不快感を表す様子がみられれば、聴覚過敏症の可能性も考えられます。周囲が注意を払い、聴覚過敏症であると診断されたら、治療とともに苦痛を少しでも軽減できる環境を整えてあげましょう。

2.聴覚過敏症の症状

聴覚過敏症の症状は、音が必要以上に大きく聞こえ、頭の中に響き、苦痛を感じるということです。

よく「耳をつんざくような」と表現されます。聴覚過敏症の原因によって難聴や耳鳴りを伴うこともあります。

聴覚過敏症の症状の現れ方は、そのときの精神状態や体調によっても違います。症状が軽い場合には我慢をすることができますが、重い場合には耳の奥や頭が痛くなったり、意識がもうろうとしてきたりします。反応している音から離れた方が良い場合もあります。

聴覚過敏症の症状は、低音よりも甲高い音に対して現れることが多いと言われています。食器の擦れ合う音、女性や子どもの声、継続する作業音など、対象と考えられる音はさまざまですが、特定の音に対して症状が出る方と、多くの音に対して症状が出る方がいます。

聴覚過敏症は本人にとっては大変な苦痛で、日常生活に支障をきたすこともあるのですが、他の人にはわかりにくいので、周囲の人にきちんと症状を伝えて理解していただきましょう。

3.聴覚過敏症の原因

聴覚過敏症の原因には、難聴を伴う病気や自律神経の乱れ、ストレスなどが考えられます。

(1)音を伝える機能に異常がある

大きな音が直接耳に届いてしまい、音が大きく響きます。顔面神経麻痺、てんかんの際にみられます。

(2)音の強弱の調整機能に異常がある

内耳の蝸牛(かぎゅう)という部分にある有毛細胞に異常があると、音の強弱の調整がうまくいかなくなります。そのために音が非常に大きく聞こえます。メニエール病や顔面神経麻痺などが影響している可能性もあります。

(3)音の情報処理機能に異常がある

必要な音と不要な音の選択ができず、すべての音を拾ってしまいます。

(4)脳の聴覚野の感度が上がる

聴覚の情報処理の感度が上がり、音が大きく聞こえます。

(5)自律神経の乱れ

過度のストレスにより自律神経が乱れ、交感神経が過剰に反応することによって神経伝達が興奮状態になります。他に睡眠不足や疲労、薬の長期服用等でも自律神経が乱れます。

(6)耳栓の習慣化

聴覚過敏症の症状の辛さを回避するために、日常的に耳栓を使用していると、ますます敏感になり、症状が慢性化する可能性があります。耳栓は、どうしても我慢できないような症状がある場合のみ一時的に使用するようにしましょう。

どのような音に対して不快感があるかを追求していくことで、聴覚過敏症を発症させた原因が判明することもあります。原因が特定できれば、それに対する治療をすることができます。

4.聴覚過敏症の治療

聴覚過敏症の治療は、まず元の病気を治すことが重要です。

メニエール病やうつ病、自律神経失調症など、原因となる病気が判明している場合は、それらの治療をすることによって聴覚過敏症の症状が治まる可能性があります。

聴覚過敏症に大きく関わっているストレスを解消することも大切です。聴覚過敏症の症状が現れることでストレスを感じ、ストレスは聴覚過敏症の原因ともなります。

聴覚過敏症を治すためには、この悪循環から抜け出さなくてはなりません。

(1)薬物療法

ビタミン剤、精神安定剤などを用います。

(2)セロトニンの活性化

セロトニンを活性化させると、精神的に安定し、自律神経のバランスが整います。日光を浴びる、ウォーキングやストレッチなど軽い運動をする、トリプトファン・炭水化物・ビタミンB6などを含む食材を摂取することは、セロトニンを活性化するのに役立ちます。

(3)カウンセリング

聴覚過敏症は、精神的な要素が関わってくるので、専門家に相談し、不安を少しでも解消しましょう。

(4)補聴器

音の伝達や調整がうまくいかなくなり、音を聞き取ろうとして脳の感度が上がることによって聴覚過敏症が起こります。補聴器で聞こえをよくすることで、脳の感度を正常に近づけると聴覚過敏の症状が治まると考えられています。

(5)生活習慣の改善

充分な睡眠をとる、スケジュールを少し緩めにするなど、ストレスを減らしてリラックスできる環境を整えましょう。

聴覚過敏症を治すためには、周囲の方の理解・協力が必要です。症状の辛さ、どのような音が苦手かを理解し、苦痛を軽減するための環境づくりなど協力してあげましょう。そうした安心感が症状の改善につながります。

聴覚過敏症は、治りにくいと言われることがあります。日常生活に支障をきたすこともあり、精神的にとても辛い病気です。しかし、聴覚過敏症は、原因に応じた適切な治療をすれば良くなる病気です。どうぞあきらめないでください。

音樂鳴り(音楽幻聴)を治すために

音樂鳴り(音楽幻聴)は、耳鳴りの一種です。耳鳴りにはさまざまなタイプがありますが、単純な音が連続して聞こえることが多く、音樂鳴りは非常に珍しいタイプと言われます。音樂鳴りは、一つの音ではなく、高音や低音などが複数重なって音楽のように聞こえるため「音樂鳴り」という症状名がついています。

「音樂鳴り」という名前がついていますが、本当の音樂を聞くように心地よいわけではありません。音樂鳴りが進行すると、苦痛を感じ、生活に支障をきたすこともあります。

音樂鳴りは難聴が原因で起こることが多く、難聴が改善すると音樂鳴りも治りやすいと言われています。音樂鳴りを治すためには、音樂鳴りについて知ることが大切です。このページでは、音樂鳴りを治したい方のために、音樂鳴りの原因や治療について詳しく説明しております。

1.音樂鳴りとは

音樂鳴りとは、非常に珍しいタイプの耳鳴りです。高音や低音が複数重なって音楽のように聞こえるため「音樂鳴り」という症状名がついています。

しかし、音楽のようであると言っても、実際は耳鳴りの一種ですから、不快感があります。

聞こえる音は、金属的な甲高い音から低音まで個人差がありますが、他の耳鳴りと違って音樂鳴りは、単一の音ではありません。

音樂鳴りは、難聴が原因で起こることが多いのですが、原因となる疾患が一つではない場合があります。複数の疾患が原因となっている場合は、診断がむずかしく、治療にも時間がかかります。音樂鳴りは、楽器を演奏している人に発生しやすいとも言われています。

音樂鳴りは、治療せずに放置すると音が次第に大きく聞こえるようになり、強いストレスとなります。そのため、症状が軽いうちに検査を受けて、できるだけ早く治療を始めましょう。

2.音樂鳴りと難聴

音樂鳴りを含む耳鳴りは、難聴が原因で起こることが多いと言われています。

耳鳴りを発症された方は同時に難聴の症状があり、難聴と診断された方は耳鳴りを伴っているということがよくあります。そのため、音樂鳴りの症状がある方は、難聴を疑う必要があります。

難聴はさまざまな種類がありますが、早急な対応を必要とする難聴に突発性難聴があります。

突発性難聴は、突発的に聞こえ方の異常が現れ、自覚しやすいので、すぐに治療を始めることが可能です。48時間以内に治療を開始すれば回復が見込めます。

難聴で特定の音が聞こえなくなると、脳は感度を上げて音を拾おうとします。それは、周囲に音がしていないのに、耳の中では音がしている状態になるということです。音樂鳴りはそれと似た理由で起こる症状です。そのため、難聴が改善すると音樂鳴りも治まる可能性があるのです。

音樂鳴りと難聴には、密接な関係があります。自覚症状が難聴のみであっても、治療を行わないと将来的に音樂鳴りなどの耳鳴りを発症する可能性があります。自覚症状が一方だけでも、他の症状を併発させないために、症状が軽いうちに早く治療を始めましょう。

3.音樂鳴りの原因

音樂鳴りの原因は、まだはっきりと解明されたわけではありませんが、可能性として考えられるものがいくつかあります。

音樂鳴りは、耳鳴りの一種で、存在しない音が聞こえるのですから、聴力に関する機能に障害が発生していると考えられます。内耳、聴覚神経、脳内の聴覚野、大脳皮質などに何らかの異常が生じているのです。

音樂鳴りの原因として、耳に関する疾患、外傷、脳血管障害、ストレスなどが考えられますが、原因が複数である可能性もあります。原因が複数あると診断がむずかしくなります。

音樂鳴りなど耳鳴りは、難聴が原因で起こりやすいと言われています。難聴で音が聞こえにくくなると、脳が感度を上げ、音を聞き取ろうとします。感度が上がりすぎると、必要ない音まで拾ってしまい、耳鳴りとして感じるようになります。

音樂鳴りの原因が大きな病気の可能性もあるので、検査を受け、早めに治療を開始することが大切です。特に、脳血管障害がある場合は、命に関わることもありますので緊急対応をしなければなりません。また、突発性難聴の場合は、48時間以内の対応が予後を左右するので、早めの対応が必要です。

ストレスや疲労で脳が興奮状態にあるときに、不要な音まで拾って音樂鳴りとして感じることもあります。日常生活の中にも原因となるものがあります。生活リズムの乱れ、偏った食事、過度の飲酒、喫煙、カラーリング剤、除草剤なども、個人の体質や体調、使用量によって音樂鳴りなどの耳鳴りを起こす原因となることがあります。

4.音樂鳴りの治療

音樂鳴りの治療は、関連性の深い難聴の治療を基本とします。音樂鳴りの原因となっている疾患の治療と、苦痛を取り除く対症療法があります。

音樂鳴りの原因となる疾患が、脳血管障害や突発性難聴の場合は、命や予後に関わることがありますので、早急な処置が必要です。

また、音樂鳴りは放置すると、進行して聞こえる音が次第に大きくなり、ストレスが強くなります。症状が重くならないうちに音樂鳴りの治療を始めましょう。

1)薬物療法

ビタミン剤(ビタミンB12)や利尿剤で内耳の血行を促進します。心因性の場合は抗うつ剤を使用することもあります。音樂鳴りの症状が治まるまでに時間がかかりますので、気長に続ける必要があります。

2)補聴器

難聴がある場合、聞こえない音を拾おうとして脳が感度を上げるために音樂鳴りなどの耳鳴りが生じます。補聴器によって難聴が改善すれば、音樂鳴りも治まる可能性があります。

(3)マッサージ・鍼(はり)治療

耳の周辺にあるツボを刺激し、首や肩のコリを改善することでリラックスさせ、音樂鳴りを改善することができます。

(4)漢方薬

さまざまな治療法を行っても改善されない場合、漢方薬が役立つケースもあります。漢方薬は体質を整えることで症状を改善していきます。ただ、病院の薬を飲んでいる場合は、飲み合わせに注意しなければなりませんので、医師や薬剤師に相談しましょう。

音樂鳴りの治療を行う際、緊急性のある疾患の場合はそちらの治療を優先しますが、命に関わらない場合はまず苦痛を取り除くことから始めます。さらに、上記のような治療法とともに、日常生活の改善も心がけましょう。

規則正しい生活リズム、上質の睡眠、バランスの良い食事、禁煙など、生活習慣を見直すことが症状の改善につながります。家庭で優しい音を聞くなど、耳の症状にばかり意識が向かないようにすることも、過度な不安を取り除くことになり、改善ヘの手助けとなります。

また、家族や友人に音樂鳴りの症状があることを伝えておきましょう。症状について周囲に理解してもらっているという安心感も、治療をサポートします。

音樂鳴りは、実際にない音を、脳が音楽や何かの音と誤認することによって起こる症状です。原因を突き止め、早期に適切な治療を行うことで、音樂鳴りは改善することができます。どうぞあきらめないでください。

突発性難聴を治すために

突発性難聴は、突然、耳が聞こえにくくなる病気です。突発性難聴は年間3万人以上の方が発症しており、その原因はいくつかの説がありますが、まだ明確なものではありません。厚生労働省から難病の指定を受けている病気です。

突発性難聴を治すためには、正確な診断と早期治療が何よりも大切です。突発性難聴を発症してから48時間以内に治療を始めれば、多くの方が聴力を回復できると言われています。治療開始までの時間が長くなるにつれて回復が難しくなります。突発性難聴は、自覚しやすい症状がみられるので、耳に異変を感じたら早めに受診しましょう。

突発性難聴の症状・原因・治療について知ることは、突発性難聴を治すためにとても大切です。このページでは、突発性難聴を治すために、突発性難聴の症状・原因・治療について詳しく説明しております。

1.突発性難聴とは

突発性難聴とは、難聴の一種で、突然耳が聞こえにくくなる病気です。40~50代の方に発症しやすいと言われていますが、若い方や小児にも突発性難聴を発症する方はいらっしゃいます。

難聴には、大きく分けて3つのタイプがあります。

  • 伝音性難聴:内耳は正常。外耳や中耳に異常があり、音の振動がうまく伝わらない
  • 感音性難聴:外耳と中耳は正常。内耳に異常が生じ、音を感じる能力に問題がある
  • 混合性難聴:伝音性と感音性の難聴が混在している

このうち突発性難聴は、内耳に異常のある感音性難聴に該当します。突発性難聴は、突然発症し、片方の耳だけが聞こえにくくなることが多く、異変には気づきやすい病気であると言えます。また、一旦治ってしまえば、繰り返すことはないと言います。

症状を繰り返す場合は、突発性難聴ではなく、「低音障害型感音難聴」と考えられ、「蝸牛型メニエール病」とも言われています。「低音障害型感音難聴」は、低音だけに障害があり、若い女性に多い、めまいを伴わないメニエール病です。

他に突発性難聴と似た疾患に、「特発性両側性感音難聴」(特発性難聴)、外リンパ瘻(ろう)があります。

突発性難聴は、厚生労働省から難病の指定を受けており、診断基準が定められています。

主症状として次のようなものがあります。

  1. 突然の難聴。ただし、難聴発症時の状況を自分で名言できること
  2. 高度な感音性難聴
  3. 原因不明

すべての主症状に加えて、耳鳴りやめまい、吐き気、嘔吐などの副症状がある場合を「確実」、主症状の①②がある場合を「疑い」とする診断基準があります。

突発性難聴は、症状に気づきやすいので、早期対応をすることが可能です。耳に異変を感じたら早めに受診し、48時間以内、遅くとも1週間以内には治療を始められるようにしましょう。治療の開始が早いほど回復の可能性が高くなります。

2.突発性難聴の症状

突発性難聴の症状の特徴は、「ある日突然」「明らかに」「片方の耳だけが」聞こえにくくなるということです。

耳閉感(じへいかん:耳が詰まった感覚)がありますが、その症状のみの人から全く聞こえない人まで、難聴の程度はさまざまです。難聴の程度が軽い人は気づきにくい場合があります。

突発性難聴は感音性難聴の一つで、内耳に障害が生じることで起こる難聴と考えられています。内耳に異常がありますが、外耳道や鼓膜には異常がありません。突発性難聴では、難聴とともに、めまいや耳鳴り、吐き気、嘔吐などの症状が同時にみられる場合もあります。

突然の症状が出て不安に感じられることでしょう。しかし、これらが突発性難聴の診断の材料となります。混乱されるとは思いますが、どのような症状が出ているかを正確に伝えて、早期治療につなげましょう。

3.突発性難聴の原因

突発性難聴の原因はまだ明らかではありませんが、いくつか原因と考えられるものがありますので、ご紹介します。

・ウイルス感染説

内耳にウイルスの感染があるとする説です。風邪の後に突発性難聴になることがあるため、風邪のウイルスによるウイルス性内耳炎が原因となって、突発性難聴を引き起こすのではないかと考えられています。抗炎症作用のあるステロイド剤が有効であることや、流行性があることなどもウイルス説の可能性を示しています。

・内耳循環障害説

血流の障害により、内耳へ充分な血液が運ばれず機能障害を起こすという説です。ただ、突発性難聴は再発することがほとんどないことや、若い方も突発性難聴を起こすことから、この説には疑問も残ります。

・ストレス

突発性難聴も他の病気と同様に、ストレスによる場合があると考えられています。精神的ストレス、睡眠不足、疲労などがあった時期と突発性難聴が起こった時期が一致するケースもあるためです。ストレスにより血管がけいれんし、内耳の循環障害が生じるのではないかと考えられています。

4.突発性難聴の治療

突発性難聴の治療は、まず別の疾患がないかを確認することから始まります。

正確な診断と早期の治療開始が重要です。問診、聴力検査、画像検査などで詳細に調べます。特に聴神経腫瘍では突発的に難聴が起こるため、MRI検査での鑑別が必要となります。

突発性難聴の治療では、基本的に多剤併用療法という薬物療法が行われます。

循環改善薬、利尿薬、ビタミンなど、複数の薬を同時に使用します。10日間ほどステロイド薬の服薬と、点滴をすることによって聴力が改善するか確認します。

薬物療法により改善がみられれば、薬を減らすなどの調整が行われます。ただし、ご自身の判断で薬を減らしたり中止したりすることは、病状の悪化にもつながりかねません。専門家の指示に従いましょう。

ステロイド薬を用いた治療では、血糖値が上昇することがあるので、糖尿病の疑いのある方は、血糖値コントロールも必要となります。

突発性難聴は、48時間以内に治療が開始されると回復の可能性が高く、通院のみで聴力が回復する場合もあります。遅くとも1週間以内に治療を開始することが望ましいと言われています。1カ月を超えると回復が難しくなるので、できるだけ早く治療を開始することが大切です。

薬物療法で思うように症状が回復しない場合は、難治性の突発性難聴と診断されます。

突発性難聴は、発症してから治療開始までの時間が短いほど治りやすいということです。また、再発することはないと言われています。耳に異変を感じたらすぐに検査を受け、早く治療を始めましょう。突発性難聴は早期の治療により治すことができます。どうぞあきらめないでください。